デジタル遺言

 法的効力がある遺言書をインターネット上で作成・保管できる制度ができるらしい。法務省が年内に有識者らで構成される研究会を立ち上げて、来年2024年3月を目標に新制度の方向性を提言するとのことです。その後、法務大臣の諮問機関である法制審議会の議論を経て、民法の法改正を目指すらしい。どんな内容になるのか、今の段階では不明ですが、以下のようなことが言われています。

1)遺言者の真意確認には、自筆証書遺言の場合は全文自筆ですが、ネット上の顔撮影などと組み合わせて作成する。
2)本人確認の手段として押印が必要だが、電子署名などで代替する。
3)現状は、紙で保管、国の自筆証書遺言保管制度があるが、クラウド上などに保管して、ブロックチェーン技術で改ざんを防止する。

 パソコンやスマートフォンで作成することになるらしいが、フォーマットに沿って入力する形になるために、遺言制度に詳しくない人でも自力で作りやすいらしい。それにしてもデジタルに疎い高齢者が使えるのだろうかと、ちょっと心配にもなりました。

 海外では、アメリカが19年に電子遺言書法を定めたそうです。二人以上の証人の前で電子署名すれば認められるらしい。導入は各州に委ねられていて、これまでにネバダ州やフロリダ州などが取り入れているとのこと。デジタル遺言書に近い例としては、韓国で本人による趣旨説明や証人の立ち合いで録音遺言が効力を持つそうです。

 遺言書が作成しやすくなることと、争続問題とはあまり関係ないように思います。問題は、遺言の内容ですね。トラブル防止、いわゆる予防法務の担い手として、行政書士の役割がなくなるわけではありません。みんなが笑顔になる相続のアドバイス、これはこれからも変わらないように思います。それと、相続手続の支援、お手伝いを求める方もあまり変化がないと思います。

 どんなに便利な世の中になっても、悩み事がなくなることはありません。ちょっとした悩みでも気軽にご相談ください。「そうだ行政書士に相談しよう!」あなたの街のかかりつけ法律家、それが予防法務の行政書士です。