法律家ならではの財務の金庫番業務と
元経営者ならではのトータルアドバイス業務
任せにくいお金のこと、事業展開の迷い、経営者の負担を軽減します。
主な取扱業務
- お金の管理に関する管理業務
- 事業展開に関する相談・アドバイス業務
- 守秘義務を要する経営相談業務
経 歴:販売促進企画制作会社取締役(H7~H13)
広告制作会社代表取締役社長(H11~H13)
IT関連会社代表取締役社長(H12~H28 ※現在顧問契約)
調査系一般社団法人代表理事(H22~H27)
人材育成型企業支援会社取締役(H17~R1 ※現在顧問契約)
語学教育&能力開発会社顧問(H17~現在)
Kizuki Drill for PowerMeeting
2014年にKizuki Drill(気付きドリル)として使っていたコンテンツです。
社団法人をやっていた2013年に実施した企業アンケート調査で、
業績に結び付くコミュニケーションが社内で生まれていない企業が多いという
そんな悲しい実態が見えてきました。
現在進行形で動いている仕事における報連相。
円滑な人間関係を作るための私的社内会話。
それ以外にどんなコミュニケーションが会社の成長に必要なのか。
その当時、足りないのは、自分が成長し、会社が成長して
一緒に豊かになるためのコミュニケーションではないか、と考えて
コンサル用の新しい定期的に実施するプログラムとして、
他社に学び、自社の現実に気付き、成長するためのミーティング、
名付けてパワーミーティングを作成しました。
具体的には、自社にあった他社事例の話で興味喚起を図り、
自社の成長につながる改善アイデアをミーティングすることで、
上下、左右のコミュニケーションを密にしていき、
成長につながるアクションを定期的に生み出していこうという試みです。
そのパワーミーティングを行うツールが
気付きドリルというわけです。
以下、65のドリルを一気に掲載しておきます。
2014年当時のかなり古い情報ですし、今は使っておりません。
最新の経営環境に合わせた事例ではありませんが、
今でも気付きに使える内容にも思えますし、参考になればと思い掲載しました。
社内の人間だけで使っても、なかなか上手くいかず、
ファシリテーターとして外部のコンサルが参加しないと難しいと思いますが、
何かお役に立てば幸いです。
【気付きドリル:No.001】
立ち食いスタイル
一流シェフによる立ち食いスタイルの「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」は、高級食材を豊富に使って驚くほど安く提供することで話題です。中には原価率が100%を越えた料理もあるそうですが、その理由は何だと思いますか。
広告宣伝費として考えているそうです。
飲食店の広告宣伝費は、けっして安いものではありません。ぐるなびやホットペッパーといった飲食店サイトに掲載しようと思うと、月50万~100万ぐらい必要だと言われています。ブックオフの創業者としても有名な坂本社長は口コミを重視されているので、話題になる料理や看板、のぼりといったものにコストをかけておられます。
ちなみに、どうして高級食材を安く提供しても利益が出るのか。その秘密は来店客の回転数です。従来の高級店であれば1日0.75回のところを、立ち食いによって1日3.5回以上を達成しておられます。そのおかげでフード原価率は高級店の5倍でも利益が確保できるそうです。
コストを度外視して話題になる広告宣伝物が出来ないか、みんなでアイデアを出してみましょう。
【気付きドリル:No.002】
金融機関の持込案件
星野リゾートは、経営不振に陥った全国各地の旅館の再生で知られる会社です。「星のや」「界」「リゾナーレ」など、手がけている旅館やリゾートの多くは料金が高額な高級路線です。なぜ、格安路線の展開をしていないのでしょうか。
他の旅館が経営不振に陥ると融資している金融機関が困るからだそうです。
再生案件の多くは地方銀行などの金融機関が持ち込んでくるそうです。老舗旅館を高級路線で再生してもらう分には、地域全体のイメージも上がるし、他の営業を脅かすこともありません。格安路線で再生されると、他に融資している先の経営が悪化し、地方銀行にとって問題はもっと増えてしまうことになります。
新製品、新規事業など、これから始まるアクションに関して、抵抗感を抱く人達を挙げてみましょう。その人達を大切にしている関係先も考えてみるといいですね。
【気付きドリル:No.003】
駅そば
立ち食いそば・うどんチェーン「名代富士そば」は、駅そばの老舗として有名です。出店する不動産物件を判断する際に、3つの条件が基本となっています。その中のひとつ、「街の色が黒い」は何を表現しているでしょうか。
サラリーマンの背広を表現しているそうです。
立ち食いそば屋は、行きがかり・成り行きで入って食べるところというのが、ダイタングル-プ創業者の丹社長の持論です。そこで移動中のサラリーマンがメインターゲットになるわけですが、そのターゲットのボリュームを直感的に判断するのに街の色が黒いかどうかという基準を設けているわけです。女性が多いとカラフルに見えるそうです。3つの条件の他の2つは、「駅から30m以内」「5分間で100人の人通りがある」となっています。
自分たちの世界で、数値ではなく、色や形といった視覚的な判断基準を設けるとしたら、どんな基準があるか考えてみましょう。
【気付きドリル:No.004】
業界基準を超える自社基準
チルドデザート大手の株式会社モンテールでは、徹底した衛生管理が行われていることで有名です。製造現場に入る際には、異物が入らないように次のような段階が設けてあります。3番目に行われていることは何か、考えてください。
1)体温チェック
2)クリーンスーツ着用
3)
4)粘着ローラー使用
5)エアシャワールーム
抜けかかっている、まゆ毛&まつ毛取り。
食品にとって体毛の混入は信用問題です。モンテールでは独自で開発した吸引機で取れそうなまつ毛とまゆ毛を吸引して除いています。ゴーグルをかける方法もあるのでしょうが、予め取り除いたほうが現場での混入リスクは少ないようです。
ちなみに、モンテールでの一般生菌の許容数基準は、食品衛生法基準の1g当り10万以下より厳しい1g当り300以下。1番目の体温チェックは、サーモグラフィによる喉の体温チェックで、37.5℃以上あった場合は帰宅。2番目のクリーンスーツは、生地に金属の繊維を織り込み静電気を防止した独自仕様。工場内で使用する靴は靴底が見えるように壁掛け式になっているなど、細かな工夫をされています。
自社基準値を業界基準よりも高く設定するとしたら、どこまで高められるか、どんな工夫が必要か、考えてみましょう。
【気付きドリル:No.005】
仕事振りの確認
全国チェーンの焼き鳥屋「やきとり大吉」では、本来ならブロック毎のマネージャーの仕事といえる、店舗の運営状況をチェックする仕事も外部に代行してもらっています。この依頼先はどんなところか考えてみましょう。
地元の酒屋さんです。
「やきとり大吉」は、各店舗の店主が本部に定額の看板料を払うだけで、鶏肉も他の材料も近くの商店街で仕入れるというユニークな経営手法で有名です。お店で使う酒に関しては、地域の酒屋さんに値段を値切らずに仕入れることになっています。その代わりに、店に配達に行く時にチェックリストで店の様子をチェックしてもらい、FAXで報告してもらう仕組みです。ちなみに「やきとり大吉」は、本部は各店舗にやきとり店営業のノウハウを提供しているだけという理由で、大阪商工会議所では飲食業部門ではなく情報産業部門に所属されているそうです。
適正な取引で相手に喜んでもらいながら、ついでにやっていただけることがないか考えてみましょう。
【気付きドリル:No.006】
新しい営業方針
低価格の人気眼鏡チェーン「JINS]を運営するジェイアイエヌでは、レンズの質を変えても追加料金を取らない方針にしました。このアイデアは既存の商品販売を参考にして生み出されたのですが、その商品は何だと思いますか。
衣料品だそうです。
田中仁社長は「衣料品はサイズにかかわらず、値段は変わらない」ということから販売戦略を考えられたそうです。パソコンモニターの青色光を低減させる眼鏡など、同社の機能性眼鏡は、眼鏡をかけない人達の市場を開拓しました。田中社長自身も近視ではないそうで、それを逆手にとって「眼鏡をかけない人でも来店してもらえる方法はないか」と考えた結果だそうです。2011年時点で度入り眼鏡は4,990円から9,990円までの4価格帯の品揃えで、レンズの質を変えても追加料金は取らないという独自の商品・価格戦略で、売上高145億円と2年前に比べて倍増させています。
他業界では常識でも、自分たちの業界では非常識と思われていることがないか、探してみましょう。
【気付きドリル:No.007】
地代のコスト意識
専門書に特化したインターネット古書店「エコカレッジ」は、東京から島根県に移って業績を伸ばされました。家賃9万円で500坪の倉庫を借りることができ、蔵書は1万5千冊から14万冊に増加。販売戦略がどう変わったと思いますか?
低価格販売から高価格販売に転換できた。
1冊の保管コストが月に1円未満だから、他社が1円、50円の値付けであっても1000円といった高い値段のままにしておけるのです。専門書の場合は必ず買い手がいるので、安いものがどんどんなくなっていって、最後に自分たちの本が売れるという仕組みです。都市部だと商品を回転させるために安いまま投げ売りする必要にかられるのですが、その心配がないのでこうした商売が可能になっています。
同じ品質レベルで、競合他社に比べて極端に高い価格をつけて売ることができるとしたら、それはどんなケースなのか考えてみましょう。
【気付きドリル:No.008】
整理整頓
インターネット通販大手のアマゾンをはじめ、巨大倉庫を使っているところでは、ジャンルや内容といった区分けによる管理をしていません。入荷した商品を空いている所にどんどん入れていくという仕組みにする理由は、何だと思いますか?
スペースを取らず、時間も取らない。
ジャンル別の整理だと少しずつ空きスペースが必要になりムダも多くなります。どんどん空いているところに入れたほうが手っ取り早くスペースのムダもありません。どこに何を入れたかは、その場でデータベースで記録していきます。ピックアップ作業時は、一番近くの保管場所が表示されるので、最短距離で作業が完了できる仕組みになっています。
整理整頓が基本ですが、そのことによってスペースのムダが出ていないか、時間が取られていないか、見直してみましょう。
【気付きドリル:No.009】
小まめな入れ替え
本のリサイクル大手ブックオフでは、仕入れ時期で黒緑青赤と値札の色を使い分けています。同タイトル本でも在庫期間が分かり、古い本は値下げコーナーに移動する仕組みです。小まめな入れ替えはどんな効果を生むでしょうか?
お客様が来店する度にいろんな本を発見する効果を生むそうです。
同じ本なら同じ価格ですが、1月から3月に仕入れた本なら黒の値札、4月から6月は緑、7月から9月が青、10月から12月が赤となっています。一番古い色のシールの本が105円コーナーに値下げされて移動すると、その分だけ棚の配置が変わってきます。いつ来ても代わり映えがしないのであれば来店頻度が落ちてしまいますが、こうした工夫で新鮮さが演出されているのです。
お客様の視点でカタログやホームページが新鮮さを保っているか、みんなの意見を聞きながら話し合ってみましょう。
【気付きドリル:No.010】
お客様との接点
大手家電量販が主流の時代にあって、優良地域家電店として有名な「でんかのヤマグチ」では、野菜や果物を店頭に並べることもあるそうです。年末に柿を市価の5分の1程度販売するなど、利益度外視でやっているのには、どんな理由があるのでしょうか。
お客様との接点を常に持ち続けるため。
何かしらの接点を持ち続けないと、お客様の心は離れてしまいがちです。来店してもらう理由をとにかく作る。その理由の数が増えれば増えるほど、店が生き残る確率が上がるというのが山口勉社長の考え方です。問いにある柿の場合で300箱の販売ですが、それだけのお客様をチラシで集める場合のコストと比較すれば、こうした野菜や果物の店頭販売は割のいい集客方法だそうです。
お客様や取引先だけでなく、社内の関係各部署との接点が切れていないか、その確認も大切です。
【気付きドリル:No.011】
お客様の心を掴む
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で連続日本一に輝く石川県和倉温泉の加賀屋では、来館されたお客様の心を掴むために色々な工夫をされています。特に着丈がピッタリの浴衣が用意されることで有名ですが、どうやっているのか考えてみてください。
案内する仲居さんが自分の身長を基準に測っている。
その他にも、建物の吹き抜けには37メートルの巨大な加賀友禅、煎茶ではなく抹茶のお持てなし、通常用と就寝用の二つ用意された浴衣の帯など、到着されたお客様の心を掴む様々な工夫をされています。それだけではなく、年間で2万5000通のアンケートを回収してお客様の声に、従業員に負担をかけることなく細かく対応されていくことで、客室稼働率全国平均48%の中、80%という群を抜く実績を挙げられています。
お客様の心を掴む演出をするとしたら、どんな工夫が考えられるでしょうか。
【気付きドリル:No.012】
ルーティン作業
日本最大の消費者組織といえる生協(日本生活協同組合連合会)の宅配は、原則週一回、同じ曜日、同じ時間、同じ生協さんが配達しています。まとめ買いで配達回数が減る分、値段を下げられるだけでなく、人件費の節約にもなっています。それは何故なのか、考えてみてください。
特定の曜日に注文が殺到しないので増員の必要がない。
日によって配達が殺到すると、その日の為だけに沢山のスタッフをスタンバイさせる必要が出てきて、人件費が増加します。1週間毎の配達だと不便そうに思えますが、主婦にとっては1週間で献立のメニューも考えながら頼めるので、余計な物を買わずに節約にもなり、丁度よいサイクルになっているそうです。また毎週必ず同じ人が配達にくることによって、コミュニケーションが生まれ、おすすめ商品の販売促進にもつながっています。
回数を減らすことでメリットが生まれることがないか、関係者の意見も聞きながら日常業務の中で探してみましょう。
【気付きドリル:No.013】
時間短縮
格安航空会社(LCC)のPeachでは搭乗時間を短縮して定刻に離陸できるように、お客様への搭乗案内を従来のやり方を改めて新しくしたところ、スムーズな搭乗が出来るようになりました。いったいどういうルールにしたのか、考えてみてください。
窓側の席の人から搭乗してもらうようにした。
それまでの常識は、後部座席の人から搭乗してもらう方法でした。しかし、その方法では先に通路側の人が入ると窓側の人がスムーズに入れなくなり、時間がかかっていたのです。そこで、A列とF列といった窓側の人から先に搭乗させるようにしたら、スムーズに入れるようになったということです。ちょっとしたことですが、大幅な時間短縮になります。
時間を短縮するために行っている手順を改めて見直して、さらに改善するところがないか、確認してみましょう。
【気付きドリル:No.014】
移転の効果
長野市の中央タクシーは後発組ながら、顧客重視の理念経営によって地域No.1の業績を挙げている会社です。本社を2002年に長野市街地から人里離れた場所に移転されました。土地が安いのは当然ですが、他にどんなメリットがあったと思われますか。
井戸水で洗車して、水道代はタダになった。
600坪の土地を180万円で購入したそうです。タダ同然の値段です。固定資産税だけではなく、車を使うご商売の場合は、車をキレイにしておくための費用も大きなコストになってきます。宇都宮司社長は「どんなに立派な建物をつくってもタクシーの場合、本社家屋は生産性ゼロ。全く稼がない」と言われ、徹底的なお客様志向をされています。
もし本社や工場を移転するとしたら、どんなランニング・コストが下がると効果的でしょうか。コストから移転場所を発想してみましょう。
【気付きドリル:No.015】
お客様の実態
日用雑貨メーカーの白元(東京・台東)が発売しているゴキブリ駆除スプレー「ワイパア・ゴキパオ」。ゴキブリ嫌いの主婦に根強い人気を誇るヒット商品です。なぜ「殺虫」ではなく「駆除」という表現になっているのか、その理由を考えてください。
調査から、殺虫成分は二の次であることが判明したから。
100人前後の主婦を集めて、深層心理を聞き出すために一対一の面談調査を実施した結果、「ゴキブリを発見しても自分では何もできない」「退治しても後始末できない」という人が目立つことに気がついたそうです。
従来は効果の高い殺虫成分の開発を競っていたのですが、研究開発部門に「ゴキブリを消して見えなくしてくれ」と注文を出して生まれた商品とのことです。
競合他社と競争しているポイントが、ユーザーの求めている問題解決のポイントなのか、定期的な見直しがあるといいですね。
【気付きドリル:No.016】
異性の目
1984年に若い男性をターゲットにユニクロの1号店が広島市にオープンしました。創業者の柳井正氏は成功を受けて2号店を同じ市内に出店したのですが、こちらは大失敗でした。1号店は女性が歩かない場所、2号店は女性で賑わう場所だったそうです。失敗の理由を考えてください。
激安衣料店で買う姿を同世代の異性に見られたくなかった。
バブル直前の当時に激安の男性衣料を買うことは、「ダサい、貧乏臭い」という印象で、デフレ時代では逆に「賢い、当然」という印象です。「ユニーク・クロージング・ウェアハウス」から「ユニクロ」に変わった今では、異性の目を気にすることもありませんし、一緒に行けるオシャレなお店になっています。時代と共に、異性に見られたくないという消費対象は変わってきています。
他に見られたくない消費、他に気付かれたくない消費といった「消費の匿名性」が自社のお客様にも発生していないか考えておくことも必要ですね。
【気付きドリル:No.017】
パレートの法則
ブランド品のリサイクルショップとして有名なコメ兵では、たとえば100個の中古ブランドバッグを販売するとしたら、2週間以内に売れる数を20個ぐらいにするというルールになっています。20個売れる位を適正価格とするのには、どんな理由があると思いますか。
店頭の在庫がすぐに無くならないようにしている。
中古品の場合、いつどれだけ商品を確保できるか計画が立ちにくいものです。すぐに売り切れるような価格では、お店の品揃えが貧弱になりますし、逆に価格が高すぎて何ヶ月も売れ残るようでは利益になりません。そこでコメ兵では創業時から80対20の法則を設け、買い取りや販売の基準にしておられます。
80対20の法則、別名パレートの法則とも言いますが、自社の中ではどんな事例に当てはまっていますか。
【気付きドリル:No.018】
覚えてもらいたい事
スターバックスコーヒーは、ユニークな人材教育を行っていることでも有名です。その中に研修生全員で話し合ってルールを作らせる「グランドルール」というのがありますが、この「グランド」とはどういう意味なのか、想像して答えてみてください。
入り口の床に貼って踏みながら覚えるので「グランドルール」です。
「優しさを見せる」「楽しく学ぶ」「お昼を一緒に食べる」等、研修生全員で話し合って決めたことを、大きな紙にサインペンで書き、入り口の床に貼って覚えるそうです。他にも会社について思ったことを書き込める「落書きボード」、他人の前では聞きにくい質問を投げておける「質問ボード」、社内用語をゲーム感覚で覚えるための「ZINGOゲーム」など、ユニークな工夫が行われています。
スタッフにもっと意識してもらいたい事について、どういう方法が良いか、グランドルールの例を元に、スタッフと話し合ってみましょう。
【気付きドリル:No.019】
他と違うところ
型破りな商品販売で急成長したドン・キホーテでは、成長を支えた事業コンセプト「CVD+A」が有名です。最初の「CV」は、「コンビニエンスのCV」で、次の「D」は「ディスカウントのD」です。さて最後の「A」は何という単語の頭文字でしょうか。考えてみてください。
アミューズメントの「A」です。
言い換えれば、より便利に、より安く、より楽しく、ということです。世の中には「便利な店」があり、「安い店」があります。「便利で安い店」もあります。そこでドン・キホーテでは「便利で安い」に「楽しさ」を付加して差別化を図りました。同店のゴールデンタイムは夜の10時から午前2時といわれています。夜の市場に対応してきたコンビニですが、それに飽き足らないニーズをアミューズという視点で応えています。
お客様視点ではなく、競合他社との差別化視点で考えるとどんなコンセプトが付加できるでしょうか。考えてみましょう。
【気付きドリル:No.020】
大きさの意味
高収益農業集団として有名な農事組合法人和郷園の木内博一代表理事は、ゴボウをカットしたら従来の3倍の値段がついたことから事業をスタートすることにしました。ゴボウをカットしないと持ち運びにくいだけでなく、販売上のデメリットがあったのですが、それは何だと思いますか。
長いまま売っているとゴボウが下段に置かれる。
スーパーの棚は30センチぐらいなので、そのままの長さだと下段に置かれて目につきません。木内氏はもっと目につくように並べたかったそうです。作ることも大事ですが、流通環境や小売り環境の理解が必要だとおっしゃっています。売り場や消費者の心理を前提にものづくりをするという考え方だということです。ちなみに、木内家の年収が350万円だった当時に、カットゴボウで4000万円を売り上げたそうです。
エンドユーザーまでどういう流通環境で届いているのか、具体的に理解するための機会を設けて、それぞれの感想を聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.021】
生活環境の違い
販売当初最大15ヶ月待ちという、水を入れずに調理できる鍋で有名な愛知ドビー株式会社では、他社では真似のできない高い密閉性を武器にアメリカ進出を計画されました。その際、鍋の直径を22センチから26センチに大きくされましたが、その理由を考えてください。
アメリカではチキンを丸ごと調理するから。
アメリカでは26センチから28センチの大きさが標準だそうです。またアメリカではソフトで丸みを帯びたデザインが好まれるということで見た目のデザインも変更されました。サイズが大きくなることで、従来の密閉性確保より精度が求められるだけでなく、ムラ無く塗装するのにも日本ならではの高い技術力が発揮されています。
生活習慣、環境が違ってくると選択時の評価基準も変わってきます。新しい市場を想定して、どんな変更が必要になるか考えてみましょう。
【気付きドリル:No.022】
体験したいこと、させたいこと
テレビでも結構取り上げられていましたが、観光資源がない北海道歌登の「うたのぼりグリーンパークホテル」は、タイ王国からの観光客に浴衣、寿司作り、和太鼓など日本の文化体験で4年間で8倍の集客を達成しています。ここでも人気なのが魚の解体ショー。使用される魚の種類は何だと思いますか。
ハマチ。
常識で言えばマグロなのでしょうが、ハマチであってもタイの人達にとっては解体ショーは珍しいイベントなのです。他にも、餅つき、流しそうめん、たこ焼き作り、縁日の射的など盛りだくさん。雪だるま作りやそり体験など、初めて見る冬の雪の方が人気なのですが、夏でも日本文化が一度に体験できることが貴重なのです。
お客様にとって実感したいことは何でしょうか。本物を使わないで体験してもらうとしたら、どんな工夫があるでしょうか。
【気付きドリル:No.023】
最適な場所
東京広尾にあるスワミチコこどもクリニックは、外国の医師免許も有し、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語で話せることで、外国人欧米人に頼りにされています。ところで、なぜ広尾で開業されているのか、その理由を考えてみてください。
大使館が多いから。
渋谷区と港区は大使館が多く、広尾は外国人にとってアクセスが良い場所です。保険証を持っていない外国人は自由診療となりますが、健康診断は1万円、病気治療は6千円と定額の明朗会計になっていることも人気の秘密になっています。語学だけでなく、場所や価格体系など利用する側の利便性を考えたシステムが特徴です。
お客様にとっての利便性とは何でしょうか。スタッフを交えていろいろな視点で洗い出し、整理してみたいですね。
【気付きドリル:No.024】
先を見る眼
モンゴルでNo.1銀行であるハーン銀行は、格安旅行で有名なHISの澤田会長が破綻したモンゴルの国営銀行を2003年に買収して設立しました。なぜ澤田会長は破綻した銀行を買収して銀行業に進出しても勝算があると判断したのか、その理由を考えてください。
モンゴルは資源が豊富だと分かったから。
澤田会長がモンゴルに行った時に、資源が非常に豊富だと分かり、この国は将来発展すると確信したそうです。経済が急速に発達すると資金需要が出るので、金融もまた発達すると考え、チャンスだと判断したそうです。今では大企業や国営企業中心の融資から小口融資へ転換して、買収から10年後には支店数が2倍近くまで拡大しています。
取引先であるお客様の成長要因にはどんなことが考えれるか、いろいろな視点で洗い出し、整理してみることが大切ですね。
【気付きドリル:No.025】
幅の基準
低価格販売で有名なアメリカ生まれの会員制大型倉庫店コストコの通路は、お客様が押す大きなショッピングカートが3つ分通れる広さになっています。世界共通となっているコストコの通路幅は、どういう理由で決まっているのか、考えてみましょう。
フォークリフトが旋回できる幅になっている。
輸送用に梱包された商品を倉庫のように高く積み上げるのがコストコの陳列です。それが大型倉庫店と呼ばれている所以になっています。商品を高く積み上げるにはフォークリフトが不可欠で、旋回できるように通路幅が11フィートなのです。それがちょうどカート3つ分の幅となっていて、お客様がスムーズに通れるというメリットにもなっています。
幅や高さに不便さや使い勝手の悪さを感じている所がないか、いろんな人に聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.026】
同じ調査環境づくり
アメリカ・マサチューセッツ州フラミンハムにある音響機器メーカーのBOSEの本社には、新しいスピーカーの音を正確に測定するためにアメリカのリビングを再現した部屋が設けてあります。毎回同じ調査環境を維持するために、ある工夫がされています。どんな工夫だと思いますか。
部屋が横転したカタチになっている。
つまり、片方の壁が床になっていてソファやテーブルが配置され、もう片方の壁が天井というわけです。この状態だと、ソファやテーブルに人がぶつかって動いてしまうことがなく、毎回同じ環境で正確な音の調査ができるそうです。スピーカーのセットも床に上向きに置くだけなので、これも簡単な作業になっています。ちなみに本社の敷地は121万平方メートルで東京ドーム26個分、いろいろな研究施設が整った本社です。
品質をチャックしている環境をセールストークや話題にできるでしょうか。再確認してみましょう。
【気付きドリル:No.027】
データの蓄積
世界から注文が殺到する印刷会社といわれるグラフでは、下請けからの脱却を目指して様々な取り組みを行いました。その中のひとつが、お客様の求める色をすぐに作り出せるという体制です。そのためにはどの位の色のストックが必要だと思いますか。
約7000色(2013年現在)のデータがストックされている。
通常の印刷で用意されている赤の色が150種類と言われています。その中で選べない中間の色でもすぐに作り出せるそうです。そのためにどんな色をどの比率で混ぜ合わせるのか、7000色のデータがモニター上にインク名、インク比率、使用量で表示できるようになっています。微妙な色の違いにこだわる世界の高級ブランドから依頼がくるのも当然といえます。
データをストックして活用していくとしたらどんなデータが大切でしょうか。周りの意見を聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.028】
模様替えの季節
家具・インテリア業界は、時期・季節ごとに売れ筋の移り変わりが激しい業界です。そうした変化に対応するために、「おねだん以上」のフレーズで有名なニトリでは、陳列棚にある工夫がされています。どんな工夫なのか考えてください。
全ての陳列棚にキャスターが付けてある。
陳列棚のレイアウト変更のたびにイチイチ棚から出して移動するのは大変です。キャスターが付いていれば、少ない人手で移動も楽にできます。商品のレイアウトに関しては、本部から全店に指示書が届くので、店員は指示通りに並べるだけで済むそうです。また、必要最小限の人員で運営するために、丁寧で親切な説明書きを多用されているのも特徴のひとつです。
お客様の視点で代わり映えのしない古臭くなったものはないでしょうか。カタログ等を含めて見直してみましょう。
【気付きドリル:No.029】
同じサービスの提供
女性にも人気の定食チェーン・大戸屋では、セントラルキッチンを導入せずに、全店で材料の仕込みから行う店内調理にこだわっています。各店で同じメニューを出すのが大切なポイントになりますが、どんな方法をとっていると思いますか。
調理DVDを配布している。
内容は、定番メニューとおすすめメニューで、材料のカットの仕方、皿への盛り付け方を見て覚えるようになっています。大戸屋では「仕込みさん」という担当が、午前8時に入って全部材料をきり終わるまで約7時間、午後3時まで野菜を切っているそうです。その他にも、削りたてのかつお節を使うために専用マシンを用意するなど、新鮮な美味しさにこだわったシステムになっています。
誰もが同じクオリティで仕事をするためには、どんな学びの方法があるでしょうか。若手と中堅を交えて話し合えればいいですね。
【気付きドリル:No.030】
過疎地の出店
大手パンメーカーの山崎製パンでは、デイリーヤマザキだけでなくコンビニエンスストア様態のヤマザキYショップを展開していますが、過疎地などでの出店を積極的に行っています。なぜ商売として採算がとれると判断できるのか、考えてみましょう。
全国10万店舗以上へのパン配送物流網がすでにある。
他のコンビニエンスストアであれば、新たに物流ルートを用意しなければならないので、過疎地への出店は採算が合いません。山崎製パンの場合は全国の小売店へのパンの供給網がすでにあるので、過疎地での出店が可能なのです。ちなみに、雪の山の中で他に店がないのですごく売れるそうですが、現地のニーズに合わせた品揃えも重要なポイントになっているようです。
一般的な常識で採算が合わないと認識している分野について洗い出してみましょう。
【気付きドリル:No.031】
品揃えの意味
百貨店のクオリティを7掛けで売りたいという主旨でスタートした無印良品では、家具、衣料、文具雑貨、食料品といろんなジャンルを扱っています。その中でも食品や文具は非常に大事な役割を担っているそうですが、その理由は何だと思いますか。
小学生や中学生など若い人が入ってくるから。
松井忠三会長は「小学生や中学生たち、彼らが大人になって、カップルになって、やがて家族をつくると、またその子供たちが購入してくれる。だから食品と文具は非常に大事な役割を果たしてくれている」と語っています。家具ならニトリ、衣料はユニクロやGAP、ノートや化粧品は100円ショップやマツモトキヨシなど、部分的には競合がいてもトータルでは競合がいない良品計画は、世代を超えるブランド戦略を目指されています。
お客様にとって自社製品以外にはどんな商品が必要とされているのか、いろんな視点で話して理解を深めましょう。
【気付きドリル:No.032】
メール連絡
インターネットファッション通販大手のスタートトゥデイは時短に取り組んでいる企業としても有名です。効率化をすすめる取り組みのひとつとして、メール使用に関して改善したらかなり効果があったようです。それはどんなことだと思いますか。
業務連絡にメールはなるべく使わない。
よほどのことがない限り電話をかけることにして、電話での連絡が8割ぐらいだそうです。メールのほうが履歴が残るし安心ですが、打つのに時間がかかるし、返事を待つのにも時間がかかる。電話だとその場で返事がもらえるので早く処理できるそうです。会社では「ろくじろう」というキャラクターを作って1日の労働時間6時間を目標に効率化を進めていて、その結果、時間当りの売上げが25%アップしたということです。
業務連絡にメールを使わない場合のメリットとデメリットを、スタッフを交えて話してみましょう。
【気付きドリル:No.033】
セールスポイントの演出
ファミリーレストランの老舗であるロイヤルホストの特徴は、全店コックさんが調理したものを提供されていることです。他社との最大の違いをアピールするために各店共通でやられていることがあります。それが何かを考えてください。
お店の責任者として名前と写真が掲示されている。
来店客に見えるように額入りで、店長と共に飾っています。提供するメニューのすべてをコックさんがつくるというこだわりです。新作メニューのレシピを各店に伝えるのも全国各エリアの味の責任者であるスーパーバイザーを集めて、総括料理長が実際に作ってみせ、各自に作らせてみせ、人から人へレシピでは伝わらない微妙な調理法を直接伝えるという方法が採用されています。
売り物の責任者は明確か。セールスポイントが伝わっているか、スタッフと話して確認してみましょう。
【気付きドリル:No.034】
需要の掘り起こし
お好み焼きソースとして有名なソース専業メーカーのオタフクは、お好み焼き屋さん需要を増やすために新メニューの紹介イベント開催だけでなく、新規参入を促進する取り組みをされています。それは何だと思いますか。
お好み焼店開業セミナー
2013年夏の時点で全国5カ所で開催され、受講生は4,500人にのぼっています。実際の調理実習だけでなく、原価率といった経営に関する知識などを3日間で学ぶ有料講座となっています。こうした需要を広げる取り組みで、全国区での知名度は低いもののソースのトップメーカーとなっています。
ちなみに2011年度のソース売上高ベスト5は1位オタフク131億円、2位ブルドック109億円、3位カゴメ78億円、4位イカリ44億円、5位キッコーマン28億円です。
需要の裾野を広げる取り組みについて、実現性は無視して自由なアイデアを求めてみましょう。
【気付きドリル:No.035】
好感触の決め手
カレールウ大手のハウス食品は、カレーを食べる習慣がない中国への進出に取り組んでいます。浦上博史社長は中国で工場見学に来た周辺の小学生のある行動を見て、「かなりいける」と感じたそうです。それはどんな行動だと思いますか。
残った皿をペロペロなめた。
カレーを普及させるために見学できるように工場は作られているそうです。お昼にはカレーを食べてもらうわけですが、お代わりをしたり、残った皿をペロペロなめたのを見て、確信したそうです。もちろん、日本とは食に対する好みが違いますから、ルウの色を中国人が食欲を感じる黄色にしたり、好まれる香辛料である八角を使うなど、現地に合わせて様々な工夫をされています。
お客様のどんな行動が満足感を表現しているでしょうか。みんなの意見を聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.036】
工夫の社内認知
男性整髪料大手の株式会社マンダムでは、中身が硬いワックスを容器にそのまま充填するとソフトクリームのように高く盛り上がってしまうために、ある物理現象を使うことで解決しています。どんな力を使っているでしょうか。
遠心力。
充填する容器を回転させ、その遠心力でワックスを平らにしています。ワックスの種類により粘度も違うため、回転スピードも一つずつ変わっています。ワックスは液体からビーズ状の植物由来のロウまで30種類の材料が使われ、釜で90分後に完成するそうですが、粘りが強いために釜から掻き出すのは全て手作業だそうです。兵庫県の福崎工場一カ所だけで国内の全商品を生産できるのも、こうした手作業を厭わないからかもしれません。
自社が利用している技術の背景に関して、どのくらい知識があるのか。一人一人に聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.037】
3つのセールスポイント
ビジネスホテルの満足度ランキングで第1位になったカンデオホテルズでは、3Bがセールスポイントになっています。購入希望者もいるBed(高級ベッド)、Bath(展望大浴場)、もうひとつのBは何でしょうか。
Breakfast(朝食)。
カンデオホテルズは2005年の創業で、2013年現在全国に11店舗展開し、ベトナムにも進出。ベトナムのホテルでも日本の旅館のような味付けのお手製肉じゃがなど、10品目の日本食を日替わりで用意されています。飛行機でいえば、ファーストクラスとエコノミークラスしかなかったホテル業界で、ビジネスクラスのクオリティで多忙なビジネスマンに喜ばれるサービスを展開しておられます。
自社のセールスポイントを3つ挙げるとしたら何でしょうか。関係者のポイントが一致するか、一度お試しください。
【気付きドリル:No.038】
売り場の現実
生活用品の売上世界一、75カ国に展開しているP&Gは「Consumer is Boss」という合い言葉で消費者の実態調査に力をいれています。売りたいと思う商品を棚の左右どちらに置く方が良いのか分かったそうですが、それはどちら側だと思いますか。
棚の左側。
お客様にアイカメラという装置を使っていただき、調査した結果だそうです。日本人は右利きが多く、棚の商品に手を伸ばすときに、左側の商品に自然に目がいくのだそうです。同様に、ホームページを実際に見ていただき、目の動きを調査することで改善を行っておられます。実際のお宅に伺っての使い方の調査や、ユーザーをグル-プで招待して意見を聞くなど、「お客様がボス」を徹底し、活動に展開されています。
アンケートではなく、関係スタッフでお客様の使用実態を見にいく機会が設けられないか、考えてみましょう。
【気付きドリル:No.039】
ヘビーユーザーの声
「店舗の魅力度ランキング」※で1位に輝いたモスバーガーでは、生産者やお客様と実際に会って話すことを大事にされています。経営トップが、お客様の意見を直接聞くために開いているイベントは何か、考えてください。
※日経リサーチが行ったストア戦略サーベイ2013
ホテルを使ったタウンミーティング。
出店している各地のヘビーユーザーを現地のホテルに招待されています。会社紹介映像を見ていただき、社長の講演、質問・要望コーナー、懇親会という流れで、お客様と触れ合い、相互理解をすすめる活動です。モスフードサービスの櫻田社長は、アンケートと違って言葉とか表情とか態度で分かるということ、話したことにその場で返ってくること、などのメリットを挙げておられます。
自分達のお客様あるいは関係先を、役員にきちんと理解してもらっているのか、整理してみましょう。
【気付きドリル:No.040】
携帯端末の活かし方
アサヒ飲料では、自販機事業の営業マン全員にタブレット端末を2013年9月から配布して営業活動の効率化をすすめています。市場開拓の際に威力を発揮しているタブレット端末の用途とは何か、考えてください。
営業活動の重複を避ける。
地図上にすでに納入している場所、商談中であれば工事中のマークが表示されて、営業担当や進捗内容なども確認できるようになっています。ビルの場合は、ビルの回数毎の設置状況、商談状況が把握できて、無駄な営業をかけなくても済む仕組みです。自販機の台数は2012年度で役256万台といわれ、アサヒ飲料は第4位、各社とも自販機自体のIT化による差別化が勝負になっているだけでなく、業務のIT化も重要なポイントになっています。
日頃の活動で無駄と感じていることに対して、スタッフそれぞれの意見を聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.041】
技術を広く活かす
危機的な赤字経営だった森下仁丹を復活させたカギは、10年かけて完成した0.03ミリという厚さの膜で包む技術でした。用途が見つからず宝の持ち腐れだった特許技術を、どう活用したのか、考えてください。
他社に活用してもらうことにした。
シームレスカプセルという特許技術ですが、通常だとその特徴を活かして自社だけのオンリーワン商品を作ろうとするところ、広くオープンにして他社に使ってもらおうと考えられました。その結果、ビフィズス菌入り整腸サプリメントをはじめ、飲料や化粧品、歯磨き粉、経口薬、レアメタル回収といった様々な分野で使われるようになっています。駒村社長はSNS、ソーシャルネットワークを広げること目指したと語られています。
自社の特徴を他社に活用してもらうとしたら、どんな相手先が考えられるでしょうか。
【気付きドリル:No.042】
技術を広く活かす2
アメリカの有名ホテルの朝食で出されるクロワッサンは、日系企業レオン自動機のクロワッサン製造機で造られたものが多いそうです。この機械はある食べ物の製造機をヒントにしてつくられていますが、その食べ物とは何か考えてください。
大福
クロワッサンはパン生地の中にバターを包み、延ばしては折って、5ミリの中に16層重ねるのがポイントになるのですが、大福製造機の餅の中に餡子を包む技術が元になっているそうです。アメリカ製パン協会は、アメリカの食文化に大きな影響を与えたとしてレオン自動機を表彰して、林虎彦会長が栄誉の殿堂入りを果たしました。このクロワッサン製造機は、パンの本場であるヨーロッパでもかなりの所で使われるようになっているそうです。
自社の特徴をもっと他の分野に活かすことが出来ないか、発想豊かにみんなで話し合ってみましょう。
【気付きドリル:No.043】
取扱商品のイメージ
リサイクルショップのトレジャー・ファクトリーでは、安い値付けの品だけでなく高額な品も出来るだけ店頭に品揃えするように取り組まれています。高額商品を並べることでどんなメリットがあるのか、考えてください。
買い取り品が増える。
中古品ビジネスのポイントは仕入を途切れないようにすること。仕入の品揃えを豊富にすることだそうです。高額商品を置くことで「こういったのも買い取りしているんだ」と想像してもらうことが出来るので、結果的には買い取りが増えるそうです。トレジャー・ファクトリーでは、全ての品にバーコードをつけて従来難しいと言われていた単品管理を行っています。個々の販売情報を把握することで適性価格販売、高値買い取りが可能になっています。
自社の取り扱い品に対して、お客様がどんなイメージを持っているのか、ユーザー視点で話し合ってみましょう。
【気付きドリル:No.044】
道具選び
GoodDesignにも選ばれた照明器具STROKEを開発し、ひとり家電メーカーとして話題になったビーサイズの八木社長は、資金をかけず設計するための環境が整ったので独立したと語られています。それは何だと思いますか。
無料で使える設計ソフト。
設計にはCAD(コンピュータ設計支援システム)を利用しますが、2000年当時には1000万円したソフトが、無料でダウンロードして使えるソフトを利用されています。試作には16万円(2013年時点)の3Dプリンターを使って検証した後、金属加工メーカーで量産化をされています。電子部品は専門商社から購入。電子基板設計も無料ソフトを使って、インターネットで発注できる製造サービスを使えば1週間後に納品されるそうです。いろいろな協力会社を見つけることで、個人でも製品を作ることが可能になったと八木社長は語られています。
仕事の効率を上げるためにはどんなツールがあると便利なのか、探してみましょう。
【気付きドリル:No.045】
一人より二人
製品寿命が従来品の2倍近くという人工関節メーカーのナカジマメディカルは、医療分野への参入の難しさを乗り越えるためにある取り組みをされて成功をつかまれました。どんな取り組みをされたと思いますか。
大学を巻き込んだ研究会を発足した。
医療器具は絶対的な安全性が保障されないと使えないので、20年分のデータが求められます。日本人の患者さんのための正座ができる国産品という使命感からあきらめずに、岡山大、千葉大、京都大などが参加、医学部や工学部の教授や他メーカーも参加した人工関節の研究会を発足したそうです。この研究会によって、大幅に製品寿命を延ばす開発が成功し、手術回数を減らすことで患者さんの負担軽減にもつながっています。ちなみに欧米の工場を視察した時に、この加工精度なら自社のほうが優れているということで参入したそうです。
外部の知識を活用するとしたら、もっとどんな所と組めばよいか、考えてみましょう。
【気付きドリル:No.046】
売れる高額商品
眼鏡フレームのラインアートは4万6200円(2013年時点)という高額商品ですが、伊勢丹新宿本店では32か月連続売上高ナンバーワンの商品です。選ばれる3つの選択基準は、なんだと思いますか。
軽い、かけ心地が良い、デザインが良い
めがねの産地として有名な福井県鯖江市にある眼鏡の一貫メーカー大手のシャルマンの製品です。中国製の低価格商品によって多くの会社が撤退した中で、圧倒的な付加価値で利益を上げておられます。その要となっているのが、チタン素材開発とレーザー溶接技術です。同社のエクセレンスチタンは開発に8年かかった素材で、それを製品に仕上げるレーザー溶接の開発には5年を要したそうです。堀川会長は、グローバルに競争するには素材や技術での差別化が必要、中国ではできないものを作ろうと考えたということです。
高価格帯でも顧客に支持される要素を3つ挙げるとしたら何になるか、みんなの意見を聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.047】
販売の近道
インドネシアの首都ジャカルタのヤクルトレディの平均賃金は約2.8万円(2013年現在)。最低賃金の約2万円を上回るので人気の仕事ですが、新規開拓の際に彼女らがまずやることはなんだと思いますか。
ヤクルトの機能を説明する。
商品を売ることをせずに、ハンドブックをもとにお腹に良い菌と悪い菌があることから理解してもらい、乳酸菌の機能を説明するのが最初のステップになっています。ヤクルトレディの採用条件は3歳以上の子供がいる販売エリア内在住の主婦で、インドネシアでのヤクルト販売は1日約300万本(2013年現在)となっています。ちなみに日本でもヤクルト販売の58.3%は、今でもヤクルトレディが担っています。一見非効率的に思えますが、説明して良さを知っていただくことが売上の近道になっています。
自社商品・サービスの良さを主婦の人に説明してもらうとしたら、どんな内容になるかみんなで考えみましょう。
【気付きドリル:No.048】
水平展開のツボ
日本発の宅配ピザ大手「ピザーラ」では、同じ店舗でビバ・パエリアというパエリアの宅配を行っています。調理に同じ食材が活かせるのが理由ですが、調理上で重要なポイントは何だと思いますか。
同じ調理器具と調理時間にする。
同じ調理システムを使って、ピザもパエリアもサイドメニューも、すべて6分でおいしく焼けるように工夫されています。具材それぞれの置く順番、量が細かく決められていて、全国どこでも同じ味が出せるようになっています。運営しているフォーシーズでは42業態(2013年現在)のお店を運営されていて、雨の日に注文が多い宅配ピザと晴れの日にお客が多い串かつのお店など、フランチャイズオーナーの安定経営につながるような展開をされています。
時間という視点で作業を見直してみましょう。○○分で終わらせるためにはどんな工夫が必要か、話し合ってみましょう。
【気付きドリル:No.049】
繁盛しない儲け方
圧倒的な安さで有名なベビー用品業界No.1の西松屋では、徹底的なコストダウンを図ることで繁盛しない方が良いという戦略をとっています。1店舗当たりの1日の平均客数は何人だと思いますか。
約170人(2013年現在)
1時間で計算すると17人程度のお客様で儲かる仕組みになっています。あえてガラガラにすると、子供が寝ていても回りやすいし、レジも並ばなくて済むというメリットも生まれます。またマネキンやワゴン販売をやめることでベビーカーも通りやすくなり、人手も少なく済んでいます。工場で作られた商品はハンガーにかかった状態で納品されるのでポールを使って陳列するだけで手間がかかりません。西松屋では一人の店長が複数店舗の店長を兼ねることも一般的に行われています。
安さと利用しやすさを追及していくとしたら、もっと単純化できるところはないか、意見を聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.050】
目利きの育成
全国に1293店舗(2013年現在)を展開する「しまむら」は自社製造をせずに、バイヤーが納入業者から仕入れる方式をとっています。目利きを磨くためにためにどんな行動をとっているでしょうか。
海外店頭リサーチをしている。
年に6回行っているそうです。各地域で必ず店頭のウィンドウの写真を撮ってくることになっています。パリやロンドン、シドニーなどに行って、流行を調査することで売れる品を仕入れる目を養っています。実際に、2012年11月にシドニーで花柄のパンツに注目して、色やデザイン違いの花柄パンツを合計86万本を投入し、前月比で売上を2割増という実績にもなっています。「しまむら」は物流や店舗運営の仕組みでよく注目されていますが、売れる品を判断する目を磨くことにも力を注いでいます。
自社の分野でこれから注目される話題はどんなことなのか、各自で調べて、みんなで報告会をしてみましょう。
【気付きドリル:No.051】
最適な販促演出
全国各地の隠れた名産品を駅ナカの1坪スペースを借りてショップ展開している「生産者直売のれん会」では、店舗のデザイン演出をすべて自社で製作されています。どんな目的なのでしょうか。
デザイン変更をやりやすくするため。
王様マンゴープリンの場合、最初は黒系の色使いをして高級路線で売り出したところ、1日の平均売上が5万6000円しかならなかったそうです。すぐにオレンジ系の明るい色使いに変更したところ、1日平均売上が22万5000円に急増したということです。鉄枠の溶接なども直営ブランド事業本部で行っていて、業者に発注したら200万円するものを原価10万円で作れるようにし、反省点を踏まえて新しい仕様に早く仕上げる体制を組んでおられます。それも優れた名産品を知ってもらいたいという熱意が原動力となっています。
今ある販促物が製品やサービスの良さを十分にアピールしているか、見直してみましょう。
【気付きドリル:No.052】
学びの条件
ノーベル賞のヒッグス粒子発見につながった立役者でもあり、光技術の最先端企業である浜松ホトニクスでは光産業創生大学院大学を設立していますが、入学の条件は何だと思いますか。
自分で光技術を応用した会社を設立すること。
2005年に設立され、自分で会社をつくらなくてはいけない仕組みになっています。2013年時点で農業への応用を目指す会社など30社が設立されています。「光技術のシーズ(種)を応用してニーズを探せ」という、同社を急成長させた晝馬輝夫氏の強い意志からつくられたそうです。常識では企業規模として取り組むプロジェクトとは思えない光技術による核融合発電など、将来の芽を持つ技術を常に探究していた企業は強いという信念で、新しい技術に積極的に取り組んでおられます。
自社の技術やノウハウをもとに起業するとしたら、どんなチャレンジをするか、問いかけてみましょう。
【気付きドリル:No.053】
残さず使い切る
ユニークな経営手法で注目されているスーパー、ハローディ。サワラ一匹が大手スーパーの場合で580円と言われている中、サワラ一匹の売上はいくら位だと思いますか。考えてください。
一匹当たり約1200円。
ハローディでは、刺し身、湯かけ、あぶりに調理。「あぶり」「湯かけ」どちらか作る店はあるそうですが、両方作る店はなかなか見かけないそうだ。それを西京焼き、しゃぶしゃぶ用、にぎりずしとして販売。こうした工夫はすべて担当者の自主的な取り組みで、その結果、1坪当たりの売上高は大手スーパーの約2倍になっています。ハローディでは商品だけでなく、店舗演出も従業員の方が自主的に作っていらっしゃいます。お客様が喜んでいただけるため、楽しんでもらうため、という一貫した企業姿勢によって、借金60億、倒産寸前から優良企業に変身されました。
お客様がどんな利便性を求めているか、可能な限りお客様の声を集めて、発表してもらいましょう。
【気付きドリル:No.054】
職人技の再現
純米大吟醸で圧倒的な人気を誇る「獺祭」のメーカー旭酒造では、杜氏を置かずに従業員だけで酒造りを行っていますが、その際に最も重要にしていることは何だと思いますか。
データ分析。
伝統的な酒蔵では杜氏が製造責任者として酒造りの中心を担っていますが、杜氏が去ったことで已むに已まれず杜氏抜きの酒造りが始まったそうです。匠の技に近づくために、温度や重量など徹底したデータ分析が行われています。日々のデータをグラフに毎日手書きで書き入れ、情報を共有しているだけでなく、更なる向上のためにデータ分析室も設置。0.1℃単位で温度コントロールが出来るようにしていることで、冬場だけでなく1年中酒造りが可能になっていることも躍進のひとつとされています。
製品やサービスの品質を数値で表すとしたら、どんなデータになるか、みんなの考えを聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.055】
気持ちの共有
基礎化粧品ドモホルンリンクルでお馴染みの再春館製薬所のコールセンターでは、キーボードによる入力ではなく手書きにこだわっていますが、その理由は何か。考えてみてください。
その時の細かいニュアンスが伝わるから。
お客様の名前・住所だけでなく、お肌の悩みを顔のイラスト部分に書くことができるシートにボールペンで書いていくのですが、ペン先の部分に小さなカメラが内臓していて、手書きがそのままパソコンの画面上に表示される仕組みになっています。このシステムによってお客様の細かい情報が全てデータ化。誰が電話に出てもすぐにお客様の対応ができるようになっています。また、再春館では緊急・重要な連絡で各部署の責任者を太鼓を叩いて集めるなど、アナログの良さを大切にされているのが特徴です。
お客様の細かなニュアンスを共有するとしたらどんな工夫があるか、考えてみましょう。
【気付きドリル:No.056】
周囲のニーズを探る
東京・浜松町駅に隣接している40階建ての世界貿易センタービルには、5000人のビジネスマンが働いているそうです。その2階に生花店があります。オフィスビルで商売になる理由を考えてみてください。
送別会や転勤時に利用される。
バラ・カーネーション・ダリアの花束(2013年現在:税込5250円)が、送別会シーズンだと1日100セットも売れるそうです。たくさん会社が入っているので、他にも飲食店はもとより、書店、ドラッグストア、眼鏡店、郵便局、銀行、メディカルセンターも入っています。貿易関係の会社が多いということもあり、海外出張の際のお土産を扱う売店まであります。羽田空港へのアクセスが良いことから全国からやってくる人に便利な貸会議室もあるそうです。
立地という視点からお客様にはどんなニーズがあるか、意見を聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.057】
色の意味
ローカル線や路線バスといった地方交通の経営再建で注目されている両備グル-プでは、再建先への新規導入バスの車体色が白になっています。その理由を考えてください。
汚れたら分かるから。
岡山県の両備バスを経営する両備グル-プの小嶋光信代表は、地方交通再建のプロとして有名です。再建先のバス会社では、一般的に行われているバスと運転手の組み合わせが日によって変わる日替わり制ではなく、常に運転するバスが同じという責任制を採用されています。実際に責任制にすると、自分で洗車するようになり、毎日洗車したら足回りの異常などが早く分かるそうです。小嶋代表は和歌山電鉄のたま駅長などで話題になりましたが、働く人が担当責任を果たすという基本的な仕組みを大切にされています。
整理整頓の担当を決めるとしたら、どんな体制にしたらよいか、スタッフ全員で意見を交換してみましょう。
【気付きドリル:No.058】
情報共有のツール
ITとマネジメントを駆使した在宅医療を手掛ける祐ホームクリニックでは、スタッフ間で具体的に情報共有するためにある道具を使っています。何だと思いますか。
スマートフォン。
たとえば寝たきりによる床ずれの状態も、その場で撮影して画像をアップすることでスタッフ全員が見られるようになっているだけでなく、駐車する場所と患者宅への道順がルートで表示されるなど、情報は全て共有する徹底さが特徴です。また、帰りの車内での音声録音で、戻ったときにはカルテが作成されている、3人体制による役割分担で患者宅での作業時間を大幅に削減するなど。「時間は患者のもの」という意識のもと、徹底した効率化で患者とその家族の負担を軽減し、高齢化社会におけるこれから求められる在宅医療サービスを提供されています。
画像で共有すべき情報があるとしたら、どんな内容でしょうか、スタッフの意見を集めてみましょう。
【気付きドリル:No.059】
店員の役割
「人で売る」にこだわるホームセンター&家具を展開する島忠では、他のホームセンターに比べて店員数が多いのが特徴。そのために何に力を入れていると思いますか。
商品勉強会。
接客に力を入れるということは、取扱い商品の全てに詳しいということに他なりません。そこで島忠では、定期的に商品の勉強会が開催されています。各店の店員を集めて勉強するのは効率が悪いのですが、ペンキの塗装の勉強会では、部屋の壁に実際に塗装しながら各商品の違いを体験するなど、様々な商品を実際に使ってみながら学習することに注力されておられます。また、各店が開店時間や品揃えなど、その地域毎の特性に合わせて運営ができるように取り組まれているなど、現場重視の柔軟な経営が特徴になっています。
競合他社の商品を実際に体験する勉強会を開催して、参加者全員の感想や意見を交換してみましょう。
【気付きドリル:No.060】
社訓の理解度
マヨネーズ市場で6割のシェアを誇るキューピー。創業者中島董一郎氏の「楽業偕悦」という言葉は今でも日常活動の中に生かされていますが、それはどんな活動だと思いますか。
社員による自主的な職場改善運動。
中島董一郎氏が社是として掲げた「楽業偕悦」は、志が同じ人と仕事を楽しみ、困難や苦しみを分かち合いながら喜びを共にする、という意味です。この理念は、従業員の働き方に生かされています。(床が)ピカピカ仙人チーム、(ストレスや残業などが)たまらないチームなど、給料よりもやりがいと語る社員の方によって自主的な改善活動が様々に行われています。キューピーでは社員の親に自社製品の中元と歳暮を贈ることでも有名ですが、これも「親を大切にしなさい」という社訓を形にしたものです。
社訓を形にするとしたら、どういうものになるか、考えてみましょう。
【気付きドリル:No.061】
本質的な価値
ファミリーレストランの草分けであるロイヤルホストでは、ドリンクバーと各テーブルの呼び出しベルを廃止されました。お客様からはニーズの高いサービスをやめてみて、逆に増えたものがあります。それは何だと思いますか。
お客様からの感謝の言葉が格段に増えた。
「気付いてくれてありがとう」という言葉が格段に増えたそうです。また、働いていて(呼び出しベルが)ない方が楽しいというスタッフの声も挙がっています。矢崎精二社長が語られている「レストランとしての本質というのは、お客が次に何をしてほしいかというのを我々が先に考えて行動して、そしてサービスをしていくところに価値があると思う」という考えの具体的な実践になっています。
お客様の感謝の言葉が増える事業の本質的な価値とは何か、スタッフ全員の意見を聞いてみましょう。
【気付きドリル:No.062】
商売のスタンス
郊外立地で調剤を行うドラッグストアとして差別化を図るスギ薬局では、景品交換型のポイントカードを発行しています。現金還元型にしなかった、その理由を考えてみてください。
お客様との距離を縮めるため。
創業当時、調剤薬局として3000人もの情報をひとつひとつ紙に書いて残していた創業者の杉浦ご夫婦。お客様との距離を縮めることがお客様のためになるという思いで実施されています。100円で1ポイントが貯まる仕組みになっていて、交換できるアイテムは2014年時点で約800アイテム。利用の都度にお客様に「○○ポイント貯まっていますよ。もう少しで▲▲と交換できますね」と会話をすることで、お客様との距離を縮めるだけでなく、来店の継続にもつながっているようです。
お客様との距離を縮めて親しくなるためにはどんな工夫ができるか、考えてみましょう。
【気付きドリル:No.063】
常識を疑う
群馬県の契約農家5000軒から収穫した新鮮な野菜を24時間以内に首都圏のお店で販売しているファームドゥでは、販売品目が自由なだけでなく、他にも嬉しい販売条件があります。それは何だと思いますか。
販売する店が選べる。
スーパーでは仕入れてくれない規格外の野菜。農協では買い取らない一箱単位の野菜、そうした野菜を販売するところはありますし、農家自身が値段を決めて販売するという形態も少なくありません。しかし、販売する店まで決められるというのが独特の仕組みです。練馬では年配者が多いのでホウレン草が売れ、三鷹は芽キャベツが売れるなど、作物だけでなく、売れ行きに関する勉強を農家がされています。
創業者の岩井雅之社長は、野菜のおいしさで新鮮さは何割を占めるかという問いに8割と答えられており、新鮮な野菜の提供によって農家を支援するという基本理念を持たれています。その信頼関係があって、5000軒というネットワークの実現になっています。
どこに何がどれだけ売れているのか、スタッフ全員知っているでしょうか、みんなでデータを確認しましょう。
【気付きドリル:No.064】
不便さの解消
埼玉新都市交通では1983年開業当初1日1万人だった乗客数が2014年時点で約5倍の4万7000人に増加しました。乗客数をグンとアップするためにどんな工夫をしたか、考えてみてください。
運行間隔を短くした。
15分間隔だったダイヤを10分間隔に増便しました。15分待つのと10分待つのでは、随分と不便さが違うということです。埼玉新都市交通では、ダイヤ改正を毎年1回行い、毎年2~3本ずつ運行本数を増やしています。一度にやらないのは、宣伝予算がないなかで、新聞や雑誌に取り上げてもらうようにという意図的な作戦です。
東北・上越新幹線の脇を埼玉県の大宮から内宿まで、12.7kmを25分で運行されている小さな鉄道会社ですが、走行線路を敷設せずに、車両はゴムタイヤで運行されていて、メンテナンスのコストがかからないようにするなど、様々な工夫をされています。
お客様が利用しない本当の理由、感じている不便さについて、話し合ってみましょう。
【気付きドリル:No.065】
時代を把握する
九州を中心に激安ホテルを展開されている株式会社アメイズでは余計なムダを省くことで低価格を実現されているのが特徴です。各部屋には通常ある設備で設置しなかったモノは、何だと思いますか。
外線電話機。
今の時代、ほとんどの人が携帯電話やスマホを使っているので、フロントへの内線のみにして外線はやめたそうです。各部屋への電話配線等がなくすだけで500室で4000万のコストダウンになったそうです。他にも宴会場や大浴場を作らない。場所は駅前ではなく郊外。ホテルの形はどれも同じにして、設計の手間を省き、同じ資材を使うことで建築費のコストダウンを図る。などなど、徹底した取り組みがなされています。ちなみに一室にかかる投資額の1/1000が宿泊料ということで、宿泊料金を戦略的に決めて投資額を逆算することが可能になっています。
使われていないのに用意してあるムダなものについて、商品、職場環境について洗い出してみましょう。