成年後見人の遺産分割協議

 成年被後見人は、単独で自ら法律行為を行うことができません。遺産分割協議は民法907条に定められた法律行為ですから、成年被後見人は遺産分割協議はできません。成年被後見人だけではなく、未成年や成年被保佐人、成年被補助人のことを制限行為能力者といいます。制限行為能力者が単独でした法律行為は原則として無効となります。契約したことに対して、取消権が付与されているわけです。それぞれの違いについては長くなるので、気になる方は検索して調べてください。

 さて、遺産分割協議が単独で出来ないとすれば、代わりが必要なわけですが、成年被後見人の場合には成年後見人が行うことになります。(成年被保佐人と成年被補助人の場合は保佐人・補助人の同意があれば本人が相続手続可能)

 この場合、法務局で「成年被後見人の登記事項証明書」を発行してもらい、各機関への提出が必要になります。ここで注意が必要なのは、成年後見人が相続人のひとりである場合です。成年被後見人に代わって遺産分割協議や相続手続きなどを行うことはできません。つまり、利益相反(お互いに利益、不利益を受ける)関係になってしまうからです。

 具体的なケースとしては、兄弟姉妹で成年被後見人と成年後見人の関係がある場合です。一人暮らしの兄弟姉妹の場合などですね。親の相続は終わっていても、長寿社会なので兄弟姉妹間の相続も増えています。ではどんな手続きが必要になるかというと、家庭裁判所に「特別代理人」の選任申立てを行い、選任された特別代理人が成年被後見人に代わって相続手続きなどを行っていくことになります。

 法定後見人にかかる費用負担から、任意後見人契約も増えています。登記件数は令和元年の法務省民事局資料によると約12万(閉鎖登記を除く)といわれ、年に1万近く契約がされているようです。ご兄弟が成年後見人となる場合には、ぜひ注意していただきたいと思います。

 細かい注意点など、一般的に気付かないのが普通です。後々面倒なことにならないためには、専門家を利用することが一番です。しかし、なんとなく敷居が高いですよね。騙されそうな気もするし。できれば人づてに評判の良い専門家を紹介してもらうほうが安心です。そんな人がいない場合は、まずお近くの行政書士に電話をしてみましょう。「そうだ行政書士に相談しよう!」あなたの街のかかりつけ法律家、それが予防法務の行政書士です。(もちろん、全員が全員、相続の専門家として業務を行っているわけではありませんが)