代襲相続・数次相続・再転相続・相次相続

代襲相続
 一般的な説明で多いのは、相続人である子が亡くなっていて、その孫が相続になるケースですね。亡くなった人に子がおらず、兄弟姉妹が相続人になる場合、相続人である兄弟姉妹が亡くなっている時には、その子供が相続人になります。この場合も代襲相続といいます。相続開始以前に亡くなったいた場合だけでなく、相続欠格・廃除により相続権を失った場合にも、代わりに相続人となりますが、これも代襲相続ですね。

 聞きなれない用語が、「数次相続・再転相続・相次相続」ではないでしょうか。

数次相続
 相続を承認した後、遺産分割が未了の間に相続人が亡くなるなどして、さらに相続が発生した場合のことを数次相続といいます。例えば、夫が亡くなり、妻と2人の子どもが相続人になり、気落ちした妻が体調を崩して入院、遺産分割協議をしないまま半年後に妻が亡くなってしまった場合などになります。老々介護といったことが話題になりますが、いわば老々相続といえますが、こうした数次相続が増えてきています。
 所有者不明土地問題も、数次相続の問題ともいえます。遺産である不動産について遺産分割が行われずに放置され、相続人の相続の繰り返しによって、現在の所有者が誰かなのか不明になっているわけです。

再転相続
 数次相続との違いは、相続の承認または放棄をしていないという点です。相続承認または相続放棄の熟慮期間中に、相続人が亡くなり更に相続が始まったケースです。例えば、夫が亡くなり、妻と2人の子どもが相続人になり、遺産分割協議をしていない、相続承認にあたる行為を何もしていない状況で、3か月以内に妻が亡くなってしまった場合などです。
 再転相続の相続人(再転相続人)は、最初の相続(一次相続)と次の相続(二次相続)の両方について相続放棄をするか否かを検討しなければいけません。この場合、最高裁は「再転相続人が一次相続の相続人の地位を承継したことを知った時から、一次相続の熟慮期間が起算される」と判示しています。つまり、例の場合であれば、相続放棄は妻が亡くなった時から3か月以内に行う必要があります。

相次相続
 一次相続の発生後、10年以内に二次相続が発生した場合、相続税の負担が過重にならないように、前回の相続税額のうち、一定の相続税額を控除することができます。これに該当する相続を相次相続といいます。例えば、祖父から父への相続で相続税の申告及び納税をした後、7年後に父が亡くなり、相続税の申告及び納税が必要となる場合などです。
 短期間のうちに相続が相次いだ場合、同じ相続財産に繰り返し相続税が課せられるのは重い負担なので、その軽減のために相似相続控除の制度が設けられています。

 なんだかややこしいですね。再転相続をはじめ、相次相続など、専門家でもあまり耳にしない用語です。しかし、まったくないケースというわけではありません。それぞれのケースに合った手続き対応が求められます。用語を知っているということよりは、相続人の事情に寄り添って真摯に手続きを行う専門家かどうかで、評価が決まるのではないでしょうか。「そうだ行政書士に相談しよう」、行政書士会のスローガンに恥じない対応をしたいです。ぜひ、頼れる街のかかりつけ法律家、気軽に行政書士を利用してください。