空き家を相続したら火災保険の名義変更
契約者死亡により親の家を相続した場合、親の家が空き家になった場合におろそかになりがちなのが、火災保険の名義変更です。空き家でも火災保険は必要であり、親名義で契約している場合は名義変更が必要になります。
忘れていたらどうなるのか、名義変更前に火災に遭ったりしても、補償を受けることはできようですが、告知義務違反とされて保険金の支払拒否を受けたという事例もないことはないようです。
火災保険の場合の告知義務の対象は、保険目的物の所在地、保険目的物の所有者、保険目的の建物の構造・用法・延べ面積、保険目的物に他の火災保険が付保されていないか、といったものがあります。被保険者には加入の際に保険会社へ告知する義務があるだけでなく、変更が生じた場合には契約上保険会社へ連絡するよう義務付けられているケースが多いようです。こうした変更の連絡を怠っても告知義務違反とされる可能性もあります。
補償を受けることができる場合であっても、保険会社から「支払いの有効性」を問われて、本人確認のための謄本の提出、今まで申告しなかった理由など、必要書類があれこれと要求されるようです。保険金の受け取りに時間がかかってしまい、保険金が必要なときに間に合わない可能性も出てきます。
というわけで、親の家を相続したら、火災保険の名義変更を忘れないようにしましょう。火災保険の名義は契約者と被保険者で、契約者は保険料を支払う人、被保険者は補償を受ける人のことでで建物の所有者のことです。名義変更用の書類は一般的に「火災保険契約内容変更届出書」と呼ばれていますが、保険会社によって異なる名称もあるようです。とりあえず口頭で「名義変更をしたい」と連絡すれば大丈夫です。
気を付けておきたいのは、火災保険契約が銀行引落の月払いになっている場合で、相続手続きですでに口座が閉じられていて口座振替ができなくなっているケースです。一定期間後にもし契約が不払い解除になったら、保険金が支払われなくなります。
もう一つが、火災保険が積立型の場合です。満期のときに満期返戻金や契約者配当金が支払われる火災保険のことですが、貯蓄性がある保険のため、相続財産として扱われます。名義変更のときには相続人全員の承諾が必要です。そのぶん手続きに時間がかかり、印鑑証明書や戸籍謄本など多くの書類が必要になることがありますので注意が必要です。
さらに考慮しておかなければならないのが、空き家の場合は保険料が高くなる可能性があります。「定期的に人の管理がある」「別荘として特定の期間だけ利用する」といった場合には、同じように住宅物件として扱われることもあるようですが、空き家のままであれば、一般物件として扱われるからです。空き家は人の住んでいる住宅に比べて、放火などのリスクが高いため、保険料が高く設定されているわけです。火災保険に一般物件で加入すると、地震保険に加入できないことにも注意が必要です。
私もファイナンシャルプランナーの資格者ですが、同じくファイナンシャルプランナーで保険の実務に精通しているライフサポート行政書士の会のメンバーである飯田先生を頼りに、足りない現場の知識習得に務めています。相続について分からないことがいろいろあると思います。どんなことでも、まずは街のかかりつけ法律家、行政書士に気軽に相談してください。