公証役場での公正証書遺言作成費用
誤解されている方もいますが、公正証書遺言は自分で公証役場に行って作成可能です。それでも費用をかけて士業に頼むメリットは、いろいろと自分の思いを聞いてもらい、細かな相談に乗ってもらえて、何かと不明な点があっても質問すればいいという安心感があることですね。
専門家に頼む費用は、事務所によって様々です。令和2年度の行政書士会の実績調査でも、遺言書の起案及び作成指導料金は2万円未満から30万円以上とかなり差があります。ちなみに当事務所は遺言内容によりますが、3万円~と規定しています。もちろん、作業実費は別料金です。
今回の記事は、公証人役場での公正証書遺言作成の費用が分かりづらいというお声をいただいたので、整理しておこうという主旨です。ネットで検索すればたくさん出てきますが、当事務所に記載がないことに気付きました。基本的な費用は以下のようになります。
1)公正証書作成手数料(公証人手数料令第9条別表)
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
※手数料は財産を譲り受ける人ごとに計算し、合計します。
※財産の総額が1億円未満の場合は、11,000円加算されます。
たとえば、例えば、遺言書で妻に2,000万円、長男に1,000万円、長女に1,000万円相続させる遺言書を書いた場合の手数料は、
(計算例)
23,000円(妻)+17,000円(長男)+17,000円(長女)+11,000(総額1億円未満加算分)=68,000円
2)証人の日当
公正証書遺言作成には立会う証人が2人必要になります。公証役場に頼むこともできますし、自分で探して頼むこともできますし、士業に頼むこともできます。証人は遺言内容を知ることになりますので、選任には注意が必要です。
1人につき、6,000円~15,000円
公証役場に依頼すると、6,000円程度と言われていますが、詳しくは公証役場に確認してください。仮に6,000円だとすると、
6,000円×2人=12,000円
公証役場に打合せに行くなどの交通費、必要書類の入手手数料等を除けば、配偶者と子供2人と考えた場合で、合計して8万円。実費分の余裕を2万円ぐらい考えておけば大丈夫だと思います。専門士業に依頼した場合は、プラス5万円~7万円といったところでしょうか。(弁護士事務所の場合は、金額に差がありますのでなんとも言い難いです)
こう考えると、自筆証書遺言保管制度を利用すれば3,900円で利用できますから、高いな!と思われるかもしれません。それでも相続時のメリットは大きいと思います。たとえば、自筆証書遺言保管制度は遺言者本人が手続きに法務局に行かなければなりません。入院されている。施設から出られない。等の動けない状態であっても公証人が出張して遺言書を作成してくれます。遺言内容を自筆する大変さもありませんし。
公証人が出張する場合には、別途費用が発生します。
①公正証書作成手数料が1.5倍になる。
②公証人の日当が発生する。(1日20,000円。4時間まで10,000円)
③公証人の交通費(実費)。
費用は他にも、祭祀の主宰者を指定する場合、手数料が11,000円かかるなどありますが、大体の費用感はつかめたでしょうか。何か不明な点がありましたら、遠慮なく街のかかりつけ法律家・行政書士にご相談ください。