借地権の相続
知人が「駅前に格安の場所があったんだよ」と知らせてきました。なぜそんなに相場に比べて安いのか調べてみたら、借地権付きの場所だったそうです。それで借地権って、相続はどうなるのという話でした。
具体的には、借りた土地の上に自己所有の建物を建てて、もし借地権の存続期間中に亡くなってしまった場合に、借地権の相続はどうなるのかという質問です。
ファイナンシャルプランナーの試験でもよく出るところですが、借地権といっても5種類あります。①借地権、②定期借地権、③事業用定期借地権等、④建物譲渡特約付借地権、⑤一時使用目的の借地権の5つです。
一般的には①の借地権が多いのではないでしょうか。契約により期間が定められている場合でも、更新することも可能です。それに対して、②の定期借地権は契約の更新ができません。期間終了後に土地を更地に戻して土地の所有者に返却する必要があります。
借地人が亡くなった場合、民法では「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定されていますから、借地権と借地に建てられた建物は相続財産として、相続人に承継されることになります。
もちろん、借地権にも相続税がかかるので注意が必要です。以下の計算式になります。
借地権の相続税評価額=自用地の評価額×借地権割合
国税庁ホームページの路線価図や評価倍率表などを使って計算することになりますが、詳細は割愛します。①借地権以外の評価も計算が複雑なので、不動産関係のサイトで調べてもらえればと思います。
借地権を相続した時には、借地契約書の内容確認が必要です。本人が亡くなったとき、どんな条件があるのか、ないのか、知っておくことが大切です。それと建物の登記の確認です。父親が契約した借地上に父親名義の建物が建っていて、その建物と借地権を息子が相続したという場合は良いのですが、父親が契約した借地上に父親以外の名義の建物が建っていて、父から借地権のみを息子が相続するなど、借地権と建物の名義人が同一でない場合には権利関係が複雑になりますから、専門家に相談するのが上策です。
法定相続人が相続する場合には、土地所有者の承諾は必要ありませんが、法定相続人以外だと「譲渡」とみなされ、土地所有者の承諾が必要です。土地所有者の承諾があれば、借地権を第三者へ売却することも可能ですが、承諾料や名義変更のための費用が必要となる可能性もありますので、注意が必要です。
不動産の相続では、不動産の専門家の力を借りないとできないことも多々あります。所有権移転登記をする場合には、司法書士の力が不可欠です。相続は他士業の力を結集してやることが多くなりますが、行政書士はそのハブ(取りまとめ役)となって動けるフットワークの良さがあります。「そうだ、行政書士に相談しよう!」 頼れる街の法律家、行政書士にお気軽にお電話ください。