相続マンションの評価額の新ルール

 お住まいの地域によって建物事情は様々ですが、マンションが多い地域の相続案件では、相続するマンションがいくら位になるのか、よく質問されます。個別のマンションの正確な相続税評価額は、不動産鑑定士や相続に強い税理士に相談をしてもらうのが一番です。

 もちろん税理士先生の登場は、被相続人の遺産総額が基礎控除額を超えて相続税が課税される場合ですが、そうしたケースではなく、遺産分割をするにあたって相続財産の配分を考えたいというニーズがけっこう多いです。

 マンションの相続税評価額は、一戸建て不動産と同じく「建物」と「土地(敷地)」に分けて計算をします。今までは以下のような計算をしていました。

【マンションの相続税評価額=土地の評価額+建物の評価額】
土地は、マンション全体の敷地×持分割合
建物は、固定資産税評価額×1.0

 専有部分の固定資産税評価額には、共用部分を住戸ごとに按分した価額も含まれています。相続でマンションなどの不動産を取得する場合、通常『財産評価基本通達』に基づいて時価評価をして、相続税額を計算するわけですが、2024年1月以降の相続や贈与から、新しいルールでマンションの相続税評価をすることとなったので注意が必要です。

 財産評価は国税庁が出している「財産評価基本通達」に従って行いますが、従来の『財産評価基本通達』に従って計算されるマンションの相続税評価額は実勢価格の平均4割程度になっていたということで、相続税評価額と実勢価格とがあまりにもかけ離れていたようです。それを是正するために2024年1月以降、新しいルールで相続税評価をすることとなりました。

 一部、例外があるようですが、新ルールでは従来の評価額に「区分所有補正率」という割合を乗じます。簡単に言えば、以下のようになるようです。

【土地の評価額】
従来 → 「敷地全体の評価額」×「共有持分の割合」
新ルール → 「敷地全体の評価額」×「共有持分の割合」×「区分所有補正率」

【建物の評価額】
従来 → 「固定資産税評価額」×1.0
新ルール → 「固定資産税評価額」×1.0×「区分所有補正率」

 ざっとした説明になりましたが、詳細の計算は何度も言いますが、詳しい専門家に相談してください。「区分所有補正率」の計算方法などは国税庁ホームページに掲載されているので、ご確認いただければと思います。「そうだ行政書士に相談しよう!」あなたの街の頼れるかかりつけ法律家・行政書士は各士業をつなぐハブ(中継地)の役割もしています。どんなご相談でもまずは気軽にお声掛けください。