3月1日から広域交付制度開始

 今年の3月1日から広域交付制度が始まります。正式には「戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第17号)」と言います。

 簡単に言えば、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになるということです。従来は、各種相続手続きには出生から死亡までの戸籍謄本を取得する必要がありました。この戸籍取得が面倒だったんですね。本籍地がずっと同じというケースは少なく、特に結婚すれば本籍地が異なったりして、その本籍地の市区町村役場にいって、戸籍謄本や除籍謄本を取得しなければなりませんでした。特に昭和初期に生まれた方の場合、いくつもの戸籍が必要になったりします。

 今回の戸籍法の改正によって、本籍地が遠くにある方でも最寄りの市区町村の窓口に請求できますし、欲しい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村の窓口にまとめて請求できるようになりました。

 ポイントとしては

 1.戸籍証明書等を請求できる方が、市区町村の戸籍担当窓口で請求する必要があります。注意したいのは、郵送や代理人による請求はできないということです。請求できる戸籍は、本人以外では、配偶者と父母・祖父母などの直系尊属、子・孫などの直系卑属となっています。つまり、本人から見て兄弟姉妹の戸籍の請求はできません。(相続手続に兄弟姉妹の戸籍が必要なケースは多いです)

 2.窓口では顔写真付きの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)の提示が必要です。

 3.コンピュータ化されていない戸籍証明書は請求できません。

 広域交付制度が始まると、自分で相続手続を行う方にとって、ずいぶんと楽になることは間違いありません。将来的にはマイナンバー制度の活用による戸籍証明書等の添付省略や、戸籍電子証明書の活用による戸籍証明書等の添付省略もできる予定のようです。こうした制度が始まることを知って、ぜひ活用していただきたいと思います。

 もちろん、日中は仕事が忙しい・高齢で移動が大変など、市区町村役場に行けない方だけでなく、なんとなく自分でやるのが心配という方など、遠慮せずに専門家に頼んでも問題ありませんし、恥ずかしいことでもありません。どんなに世の中が便利になっても心配の種が尽きることはありません。相続の手続きではなく、相続そのものに親身になって応えて欲しい。そんな方の思いに応えていきたいと思っています。行政書士は、あなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。ぜひ、お気軽にお声掛けください。