相続放棄の確認
遺言書がない場合、相続人間で相続財産をどう分けるか決める遺産分割協議を行います。そうしないと遺産分割協議書が作れませんし、金融機関の相続手続や不動産の所有権移転登記ができません。その前に相続財産を確認する必要があります。相続でモメるキッカケの一つが、相続財産の確認時です。
もっと相続財産があるはず。おかしい。という疑念が出てくると、もう行政書士では扱えません。弁護士先生にしか扱えない事案になります。受任しなくても、その後の成り行きがどうなるのか、気になってお聞きすることがあります。
たったこれだけの財産しか残っていないというのは変だということで、やり取りする中で、相手側が相続放棄したと連絡が入ることがあります。本当なのか、弁護士先生に調べて欲しいと頼むのですが、私の知人は「できません」と言われたそうです。これはどういうわけなのか。相続放棄したのかどうかを確認するには、家庭裁判所への手続きが必要になります。そして、相続放棄の照会ができる人は、次の2つの場合と裁判所のホームページで記載されています。
1)相続人
2)被相続人の利害関係人。例えば、被相続人にお金を貸していた債権者など
しかし委任状があれば、弁護士だけは照会手続の代理人となれるようです。知人の弁護士はご存じなかったのか。それとも他に理由があるのか、分かりませんが。
相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会書に記入して、添付書類を用意します。1)と2)では、照会する場合の添付書類が違ってきますが、相続人が照会する場合の添付書類は以下にになります。
● 被相続人の最後の住所地の住民票の除票(本籍地の表示のあるもの)
● 相続関係図
● 相続関係図を裏付ける戸籍謄本,除籍謄本,改製原戸籍など
● 返信用切手を貼った封筒
※返信用切手は通常84円で足りますが,原本の返還を求める場合はその重さに応じた切手
相続放棄の照会を申し立てる裁判所は、被相続人が亡くなった住所地を管轄する家庭裁判所です。分からない場合は、被相続人の最後の住所地は住民票除票又は戸籍の附表で確認することができます。
さて、相続放棄をされたからといって、相続財産がどうなっているのかとは別問題です。別の金融機関に相続財産がある可能性も考えてしまいます。そうなると、弁護士会照会による預貯金に関する情報開示を行うことも検討に入ってきます。この問題は別の機会に記載するとしても、相続人間のモメ事は簡単に進む話ではありません。
相続問題がモメると泥沼、と言われるのは、簡単には解決しない現状があるからです。親の財産について、なかなか聞き辛いとは思いますが、遠慮せずに把握するようにしておきたいものです。相続は先手が大切です。予防法務の担い手でもある行政書士としては、公正証書遺言の検討をおすすめします。何か問題が起きるのでは、起きそう、そんな思いがあるようでしたら、ぜひ、「そうだ行政書士に相談しよう!」あなたの街のかかりつけ法律家・行政書士にご連絡ください。