特定空き家と管理不全空き家
空き家問題、話題になることが多くなってきたように感じます。平成27年度松戸市空家実体調査報告書では、空き家総数は1616件となっています。そのうち特定空き家候補は141件です。総務省の調査では、20年で448万戸が820万戸へ1.8倍にも増えたというデータもあるようです。実際、空き家も目につきますよね。
火災になったりしたら大変です。古い物件だと火災保険に入れないという話も聞きます。すでに築30年の住居の保険料が5割引き上げられた地域もあるようです。相続した空き家が、もし火事になって近隣に迷惑をかけたりしたら、そう考えただけでも心配になってきます。
国も問題視していて、早急な法改正を考えているようです。早ければ年内、あるいは来年あたりに施行されるかもしれません。これまでの特定空き家に加えて、管理不全空き家というのが新たに設けられるようです。
特定空き家は、家屋に倒壊など保安上危険な恐れがあったり、著しく衛生上有害となる恐れがあったりする場合に市区町村が指定しています。松戸市の場合も、冒頭であげたように候補として把握しているようです。指定を受けた所有者が自治体の改善指導・勧告に従わなければ、住宅用地に提供する税軽減特例の対象から外されてしまいます。
住宅用地に提供する税軽減特例というのは、土地200㎡以下の部分について固定資産税を課税上の評価額の6分の1にし、原則として市街化区域でかかる都市計画税を3分の1とする特例になります。これが受けられないと、試算にもよるようですが、約4倍近い税負担になるみたいです。
管理不全空き家も同じ仕組みになって、指定を受けると特例を受けられなくなります。管理不全空き家とは、どんな物件なのか。適切に管理されていない、窓や屋根の一部に破損があったり、壁の一部がはがれているなど、倒壊の可能性は低いが一部に破損や変形などがある。放置すれば特定空き家になるおそれのある物件になるようです。
さらに、特定空き家の場合には、家屋が著しく危険な状態にある場合などに自治体が強制撤去する「行政代執行」という制度に緊急時の代執行制度を設けるようです。通常の行政代執行は所有者が撤去や除却の命令に従わない場合に適用しますが、命令などを一部省略できるようするとのこと。除却の命令に従わないと50万円以下の過料も課されるし、行政代執行の費用負担もあります。
売れればよいのですが、なかなか空き家は売れません。更地にすれば良いでしょうが、解体撤去工事の費用は条件によって異なるでしょうが、一般に100~300万円といわれています。木造建築で坪4~5万円程度らしいですが、60坪で300万円の計算になります! なかなか出来ないですよね。
相続で空き家になりそうな可能性があるなら、早め早めに考えを整理しておきましょう。それが最初の一歩だと思います。考えがまとまらないなら、相続を扱っている士業にご相談ください。考えるためのたたき台として話をしてみるのもアリだと思います。「そうだ行政書士に相談しよう!」あなたの街のかかりつけ法律家・行政書士も、ぜひ、ご検討ください。