相続放棄の手続き

 相続放棄には期限があります。原則として亡くなったことを知った翌日から3か月以内。これは多くの方がご存知だと思います。意外と短いと思いながら、相続放棄するようなことが稀なせいか、具体的な手続きをご存知の方は少ないようです。よほど借金などの負債、つまりマイナスの財産がプラスの財産より多くない限り、相続放棄はないですから。というわけで、今回は相続放棄の手続きについて詳細の話です。

 相続放棄は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申述書を出すことからスタートします。

 申述できるのは相続人ですが、相続人が未成年者または成年被後見人である場合には、その法定代理人が代理して申述します。未成年者と法定代理人が共同相続人の場合で未成年者のみが申述するとき(法定代理人が先に申述している場合を除く)、または複数の未成年者の法定代理人が一部の未成年者を代理して申述するときは、当該未成年者について特別代理人の選任が必要になります。

 申述書以外に必要になる書類は、以下の通りです。
【基本的に必要なもの】
1. 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
2. 申述人(放棄する方)の戸籍謄本
【申述人=被相続人の配偶者の場合】
3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
【申述人=,被相続人の子又はその代襲者(孫、ひ孫等)(第一順位相続人)の場合】
3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
4. 申述人が代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合は、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
【申述人=被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)】
3. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
4. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合は、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
5. 被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))がいらっしゃる場合は、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【申述人=被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合(先順位相続人等から提出済みのものは添付不要)】
3. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
4. 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
5. 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
6. 申述人が代襲相続人(おい、めい)の場合は、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

 申述に必要な費用は、申述人一人につき収入印紙800円になります。他に連絡用の郵便切手が必要になります。(申述先の家庭裁判所に確認してください)

 申述書を出したら、家庭裁判所から照会書が届き、回答して戻します。受理通知書が届けば相続放棄の手続きは完了になります。相続放棄が受理された証明書が欲しい場合は、家庭裁判所に備付けの申請用紙に必要事項を記入し、1件につき150円分の収入印紙、郵送の場合は返信用の切手を添えて、受理をした家庭裁判所に申請します。直接、受理した家庭裁判所で申請する場合は、印鑑及び受理通知書や運転免許証などの本人確認できるものを持参します。

 必要書類がいろいろなケースに分かれて記載されているように、相続放棄したら相続権が次の順位の人に移るので、次の順位の人がまた相続放棄をするという流れになることが多いわけです。相続放棄する場合には、まず最初に相続権が移る人に連絡しておかないとモメる原因になりかねません。注意すべきポイントです。

 その相続行為からどんなことが起こり得るか、なかなか判断しにくいものです。なるべく専門家の意見を聞いて参考にしていただきたいと思います。「そうだ!行政書士に相談しよう」が行政書士会のスローガンです。頼れる街のかかりつけ法律家、行政書士へ気軽にご相談ください。