小規模宅地の特例と相続税

 ファイナンシャルプランナーの試験で、小規模宅地の特例を勉強します。行政書士試験だけでは不動産関係の知識が不足するので、行政書士になった後にファイナンシャルプランナーの資格を取ることを推奨されます。私もそうアドバイスされて取得しました。

 小規模宅地の特例と相続税の関係、なんだか難しく感じます。よくメディアに紹介されるのは、二次相続を含めて、相続財産が安くなるかどうかという例が多いように思います。

 二次相続とは、たとえば父親がなくなって相続手続きを行った後、その次の相続のことを言います。たとえば、ご両親と姉妹の4人家族としましょう。父親が亡くなった時の相続が一時相続、その後に母親が亡くなったとしたら、それが二次相続になります。この一次相続のときに、母親が全ての相続財産を取得するということはよくあることです。

 相続財産に土地建物、つまり自宅が含まれるケースは多いわけで、税金のことを考えると、どうしても小規模宅地の特例が関係してきます。詳しい話は、やはり税理士にお聞きになる方が良いと思います。ここでは、大雑把な流れで理解できればと思って、話をすすめます。

 一次相続で母親が全てを相続する(これをケース①とします)と、1億2000万円あるいは法定相続分の範囲内なら母親に相続税はかかりません。自宅の土地家屋が合わせて6000万円、預貯金が3000万円と仮定しても合計9000万円ですから、大丈夫です。

 もし、姉が母親と同居することにし、土地家屋を母親と1/2ずつ相続して、妹が3000万円の預貯金を相続することで、みんなで平等に3000万円で遺産を分けた(これをケース②とします)としたら、相続税はどうなるでしょうか。

 (ここは面倒なので飛ばして構いません)相続税の計算は、相続財産から基礎控除額(3000万円+600万円×相続人の数)を差し引いた額を、法定相続分(配偶者が1/2、この例では子が残りの1/2を1/2で分配)で分け、それぞれの額に税率を乗じ、控除額を差し引いた税額を、再度合計して実際の分配比率にした額が、各人の相続税になります。
 ※詳しくは国税庁のホームページをご参照ください↓
  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm

 母親に相続税は発生しません。姉妹には相続税が発生するわけですが、同居する姉の場合は、小規模宅地の特例を使うと相続税はかなり少額になってきます。そこで二次相続の相続税まで含めて、相続税を比較しようという話が出てくるわけです。

 その二次相続ですが、ケース①で母親が亡くなった後、姉妹は相続財産(財産の内容が変わらないと仮定して)9000万円の法定相続分の1/2である4500万円で税金を計算することになり、相続税が発生します。ケース②で母親が亡くなった場合には、母親の相続財産3000万円は基礎控除額内なので、相続税は発生しません。

 本当に大雑把で申し訳ないですが、結論としては、一次相続と二次相続の相続税の合計は、ケース②のほうが少なくなります。

 個別具体的な相続税の計算は、税理士しかできません。行政書士もファイナンシャルプランナーもやってはならない行為です。しかし、基本的な知識としてご相談に応じることはできますし、税理士をご紹介することもあります。相続税だけでなく、「残された家族のことを考えて遺言書の作成をしたい」そんなご要望に幅広い知識で対応するのも、トラブルにならないための予防法務の担い手、行政書士の役割だと思います。ぜひ、お近くの頼れる街のかかりつけ法律家、行政書士をご利用ください。