どうしても気になる暦年贈与

 110万円の基礎控除を使った相続税対策と言ったほうが分かりやすいかもしれませんね。「子供の預金口座に毎月9万円振り込んで年間108万円、110円以内ですしね」なんて方がいらっしゃいますが、それでは連年贈与、つまり定期贈与とみなされて、贈与税がかかってしまう可能性が大です。

 暦年贈与と主張するには、贈与する側と贈与される側の合意を示す証拠が必要になります。贈与契約書を贈与する年ごとに作成しないで、贈与契約書が最初の年だけだとすると一括贈与とみなされる可能性があり、けっこう面倒になってきます。また、通帳や印鑑も贈与する側が持っていたりすると、名義貸しと判断されて贈与財産と認められなかったりします。

 あえて基礎控除をやや上回る150万円以下で贈与して、少しだけ贈与税を払うといった方法をお話しされる方もいらっしゃいますが、相続の話とはいえ、個別具体的な税の話は専門家である税理士の分野で、行政書士は関与できません。

 相続税に関わることで今話題にするとしたら、贈与の時期になります。贈与した人が亡くなると、過去3年間の贈与は相続財産とみなされて相続税の対象になります。それが21年度税制改正大綱で暦年課税制度の見直しがされており、相続財産とみなされる贈与期間がなんだか長くなるのでは、といった話題も出ているので注意しておくことが必要ですね。

 配偶者の相続税に関してご心配になる方も多いですが、配偶者の場合は1億6000万円までは相続税がかかりませんので、そんなに心配されないで済む方が多いのではないかと思います。

 相続税のことが気になるという方は、本当に多くいらっしゃいます。繰り返しになりますが、個別具体的な相続税に関することを扱えるのは税理士の方たちです。相続を専門に扱う行政書士であっても、相続税に関しては一般的な話しかできません。それでも基本的な話を聞いておくことは無駄にはなりませんので、頼れる街の法律家として利用していただければと思います。

 「相続税について基本的なことを教えてもらえますか?」 そんなご要望にお応えしますので、お気軽にご連絡を。個別具体的な必要があれば、頼れる税理士をご紹介することも可能です。