相続人がいない場合の預貯金の行方

 相続人が最初からいない場合と、相続人全員が相続放棄した場合が考えられるケースですね。

 相続人がいない場合には、利害関係人や検察官の申立てによって、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。被相続人の債権者等には、この相続財産管理人が債務の支払いなどの清算行為を行います。利害関係人には債権者や債務者も含まれるので、預貯金がある場合には金融機関が相続財産管理人の選任を申し立てることもあります。

 家庭裁判所は相続財産管理人の選任を官報に公告して、2か月以内に相続人が現れなかったら清算手続きに入ります。相続財産管理人は少なくとも2か月以上の期間を決めて、債権者や受遺者に請求の申出をするように官報に公告します。もちろん、すでに分かっている債権者や受遺者に対しては通知をしてくれます。

 また、亡くなった人と生計を同じくしていた人、亡くなった人の療養看護に務めた人、その他の特別縁故者がいたら、相続人がいないと家庭裁判所が確定してから3か月以内に家庭裁判所に遺産の請求の申立てができます。

 相続財産管理人は、債務を支払うなどしてプラスマイナスの清算をして、特別縁故者への分与があれば分与を行うのですが、それでもプラスの財産が残ったら、残りは全て国のものになります。

 ちなみに銀行の窓口に行って、相続財産管理人と名乗っても本当かどうか分かりませんから、家庭裁判所の審判書等で確認が行われます。預貯金の払戻しが相続財産管理人の権限の範囲かどうかも確認されるようです。

 おひとり様終活という話が話題になりますが、悔いのない財産整理を考えておくことをお勧めしたいです。どういうことができるのか、自分がどうしたいのか、専門家の意見を聞きながら整理していただきたいですね。いつでも私たち行政書士を頼ってください。お気軽にご連絡ください。