相続した農地の売却

 リリースした「コスモスひろば」の春号に飯田先生の記事が記載されています。私の住んでいる地域はどちらかといえば都市部なので、農地の相続は未だ縁がありません。飯田先生の記事で勉強したわけですが、さらに詳しく備忘録として記載しておこうと思います。(これからも農地の相続に縁がないと思いますし、依頼が来たら専門の先生を紹介するほうが依頼者のためになると思います)

 農地は、大きく分けて「耕地」と「採草放牧地」に分けられるわけですが、私の地域の特性を考えて「耕地」について記載しておきます。

 簡単に言えば、農地の売却には法律に基づく許可が必要になります。農地法第3条または第5条の許可です。農地法第3条の許可は農業を営む者への売却(農地として利用する場合)となり、農地法第5条の許可は、農地を宅地や駐車場に転用する場合(農地転用)になります。どちらにしても農業委員会の許可が必要となるため、事前に相談することが大切です。特に知っておきたいのは、農地を宅地や駐車場に転用する場合ですが、市町村や都道府県の許可が必要になります。

 注意しておきたいのは、その農地がどんな用途地域に存在するかです。市街化区域であれば比較的容易に転用可能になるようですが、市街化調整区域だと原則転用不可(例外的に許可される場合あり)になるそうです。まず最初に土地の用途地域や都市計画を役所で確認し、転用が可能かを調べておきましょう。

 もちろん相続登記は済ませておくわけですが、税金についても売却特例も含めて調べておきましょう。また忘れがちですが、近隣農家との調整も重要です。「誰に売るのか」「どういう形で売却するのか」について、地元の農家や自治体と話し合うことも大切です。

 農業委員会への事前相談では、許可が下りる可能性だけでなく、必要書類、その他の注意点を確認しておきます。必要書類は農地転用の場合、地域によって異なるケースもあるようですが一般的に以下の書類が求められるようです。

•許可申請書
•売買契約書(または予約契約書)
•転用計画書(どのように利用するか)
•事業計画書(必要に応じて)
•土地の登記事項証明書
•公図・地積測量図
•現況写真

 ちなみに農地として売却する場合には

•許可申請書
•売買契約書(または予約契約書)
•申請者(買主)の農業経営計画書
•土地の登記事項証明書
•公図や字図
•申請者の住民票・印鑑証明書

 通常、農業委員会は毎月1回程度開催されるため、申請のタイミングの確認が必要です。審査期間は約1~2カ月が目安になりそうですが、余裕を持って計画したほうが良さそうです。許可が下りると「許可証」が出て、法的に売買契約が成立することになります。その後に所有権移転登記になります。

 事前準備から、書類作成、申請、審査、許可証交付の流れですが、ご自身でやるには荷が重いかもしれません。専門的な知識が必要なので、農地に詳しい行政書士や司法書士の先生に相談することをオススメします。適切な相談先が分からないようであれば、ご紹介します。「そうだ行政書士に相談しよう!」行政書士はあなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。どうぞお気軽にご相談ください。