親が養子縁組した子供の相続問題
ご質問を受けて、最近の最高裁の判断を思い出しました。よくよく考えると私の身近かにも同じような家族関係があったような気がします。けっこう似た例が多いのかもしれません。新聞にも掲載されていたことがあるので、ご存知の方も多いかもしれませんが、どういうケースかというと。
自分の親が、「おじ」あるいは「おば」の養子になっているケースです。その「おじ(おば)」に子供がいたら、自分の親にとっては本来「いとこ」に当たりますが、養子縁組した後は「兄弟姉妹」になるわけですね。その「兄弟姉妹(旧いとこ)」が一人っ子で子供がおらず、独身で亡くなった場合、養子縁組した「おじ(おば)」もすでに亡くなっていたら、自分の親が「兄弟姉妹(旧いとこ)」の遺産をすべて相続します。これは、兄弟姉妹の相続に当たりますから、問題のない一般的な相続の話になります。
そこでもし、自分の親が「兄弟姉妹(旧いとこ)」よりも先に亡くなっていたら、どうなるでしょう。親にとって「兄弟姉妹(旧いとこ)」は、自分にとっては「おじ(おば)」に当たります。
相続予定の人が亡くなった場合、その子供らが相続権を引き継ぐという「代襲相続」という決まりが民法にあります。つまりこのケースであれば通常は「おじ(おば)」の遺産は、「代襲相続」により自分たちが想像できることになります。裁判の原告の主張もそこにあるのですが、
実は、自分たちが生まれたのが親の養子縁組の前なのか、後なのか、それによって違うというのが最高裁の判断でした。裁判のケースでは原告たちが生まれた後に親が養子縁組をしていました。1932年の大審院(最高裁の前身)の判例に「養子縁組前に生まれたこともは新たな親族関係を生じない」というのがあります。つまり、養子縁組前に生まれた自分たちにとっては、自分の親の「兄弟姉妹(旧いとこ)」は「おじ(おば)」に当たらないというわけです。
ちょっと関係が複雑なので分かりにくいかもしれません。たぶん、図にしても、相続の流れが見えにくいと思います。分からないことは、会って話して図解して理解するのがいちばん。難しく感じたり、なんだか分からないと思ったら、専門家に頼りましょう。行政書士はあなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。お気軽にお声掛けください。