疎遠な相続人と連絡をとる

 誰が相続人なのか。それを確定するために被相続人の誕生時からの戸籍を収集して調べていきます。一般的な相続では、相続人が誰であるか、はっきりしていることがほとんどです。しかし、土地の相続など、何世代前から相続登記がされていなかったりすると、相続人探しになるケースも出てきます。いとこ同士でも疎遠な場合がありますが、ましてその下の世代になると住所さえ分からないことがままあります。

 相続人の住所が分からない場合には、戸籍の収集時に戸籍の附票を併せて発行してもらいます。戸籍の附票には、住民票に登録されている住所が記載されています。しかし、その住所に連絡をとってみないことには、実際に居住しているかどうかは判断できません。住民票に登録している住所に居住していないという可能性もあります。

 住所地に「連絡していただきたい」という内容の手紙を出す。レターパックなど配達記録が分かるものを使うわけですが、届いているのは確かなのに連絡が来ない。そういうこともあります。行ける範囲なら直接尋ねてみる。確かに住所地は確認できたけど、カーテンは閉まったまま。ということもあります。遠方で訪ねていけない場合も含めて、SNSで情報を探してみる。見つかればダイレクトメッセージで直接連絡できますが、これも決め手にはなりません。(探偵事務所や興信所の利用も考えられますが、高額な費用になるのは覚悟しておかなければなりません。)

 連絡が取れない場合でも、何度も諦めずにアプローチを続けることが必要です。他の相続人から連絡してもらうとか、士業を間に入れるとか。なんとか連絡を取ることが相続手続きを終わらせる一番の方法だと思います。

 どうしても連絡が取れない場合は、その相続人は「行方不明」として考えることになります。具体的には、家庭裁判所へ「不在者財産管理人の選任」や「失踪宣告」の申立てをする方法があります。失踪宣告には、生死不明から7年以上経過しているなどの条件があります。実際、それを証明するのはちょっと敷居が高いようですね。不在者財産管理人選任の申立ては、手続きに必要な期間が申立てをしてから約1年といわれています。選任されると、音信不通の相続人に代わって財産の管理や、遺産分割協議に参加でき、相続手続きが進みます。

 シンプルな相続なら、相続人のお一人が代表して手続きをやられることが多いです。「相続手続きは自分でやったけど、割と簡単だった」という方もけっこういらっしゃいます。士業が受任するケースは手間がかかったり、複雑だったりするケースが多いです。少しでも不安があるようなら、早めに専門家にどんな手間やリスクがあるか相談されることをお勧めします。行政書士はあなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。キャッチフレーズは「そうだ行政書士に相談しよう!」、お気軽にご利用ください。