契約書と同意書
相続手続など仕事を受任するときには、契約書とは別途「個人情報の取得及び利用に関する同意書」をいただくようにしています。よく質問されるのが契約書と同意書の違いです。行政や金融機関でも個人情報に関する同意書に署名された経験があると思います。一方、インターネット上のサービス申し込みなどでは契約する過程で、個人情報の取扱いに関する長い文書があって、チェックボックスにチェックすることも多いと思います。そんなわけで「個人情報の取扱いで契約したことがあるよ」という表現をされる方がいらっしゃったりします。
身近に聞く用語でも、意味をきちんと理解していないことが多いものです。そういうわけで、今回は契約書と同意書の違いを整理しておきたいと思います。契約書と同意書はどちらも法律上の文書ですが、異なる目的や性質を持っています
まず契約書ですが、契約される側とする側の2者とは限らず、2者以上の場合もありますが、その間で権利や義務を取り決める文書になります。各当事者が特定の義務を果たすことや権利を持つことを約束し、その約束に法的拘束力を与える形で明確化したものです。具体的には合意の条件、期限や報酬、違約金などが記載されるわけですが、書面の場合は当事者全員の署名(記名の場合は押印)が必要です。電子契約では「電子データ」として契約内容をメールなどで送付し、内容に合意する場合はデータ上での署名である電子署名を取り交わします。
次に同意書ですが、一方が他方に対して特定の行為や条件について許可や承諾を与える文書になります。相手側の特定の行為について許可や承諾を与えることを明確にし、その行為に関して責任やリスクを確認するために使用されます。契約書と違って、当事者の一方が署名(もちろん双方署名もあります)することが多いです。医療行為に対する同意書、未成年者の旅行に対する保護者の同意書、写真使用の同意書などをイメージしていただけると分かりやすいと思います。一般的に契約書ほど詳細な義務や条件は含まれない場合が多いです。
まとめると、契約書は相互の権利義務を詳細に定めるための文書であり、同意書は特定の行為に対する許可や承諾を示すための文書ということになります。遺言や相続の手続を依頼されるとき、契約書はもちろんのことですが、個人情報の取扱いに関する同意書も必要な時代となっています。書類はよく確認して、その意味が分からない場合は遠慮なく質問してください。
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