土地の境界線が不明
相続した土地の境界線が不明なときには、どうすればいいの? これは行政書士の範疇ではないですが、「行政書士は頼れる街の法律家」「そうだ!行政書士に相談しよう」と日本行政書士会連合会のキャッチフレーズのように、できる範囲でお応えしていきたいと思っています。
一般的には、土地家屋調査士の先生に依頼して境界を確定することになります。現地を実際に測量して(現況測量といいます)、図面(現況図面といいます)を作成します。そのうえで隣接する土地の所有者に立ち会ってもらい、境界線について合意を求めることになります。合意できない場合は、境界確定の訴訟、つまり裁判を起こすか、訴訟する前に筆界特定制度を利用することになります。
筆界特定制度とは、土地の所有者として登記されている人などの申請に基づいて、筆界特定登記官が外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。公的な判断として筆界を明らかにできるため、隣人同士で裁判をしなくても、筆界をめぐる問題の解決を図ることができるとされています。もちろん結果に納得いかない場合には、裁判で争うことができます。
※筆界とは、土地の境界のことで、法的には個々の土地を区画する公法上の区分とされている線になります。不動産登記法上、すべての土地は必ず一区画ごとに地番が付されています(不動産登記法第35条1項)。この地番と地番の境が筆界となり、「ひっかい」あるいは「ふでかい」と呼ばれています。
合意できれば、境界を決定します。境界標(□の中に十字や矢印が刻まれています)がない場合には境界標を埋設し、境界確認書に全員の署名押印をします。もし、実測面積が登記簿面積と異なる場合には、義務ではないようですが地積更生登記をするようです。
行政書士からのアドバイスとしては、土地の境界が明確かどうか、できれば親御さんがお元気なうちに確認しておいたほうが良いということです。境界が不明な場合、親御さんとお隣さんとが仲が悪くない限り話し合いがしやすいので、お互いに現況を確認しながら境界を合意しやすいでしょう。
また、境界が不明ということは、親御さん自身が土地の詳細を知らないということにもなり、祖父(母)の名義のままになっている可能性もあるからです。その場合には、相続時の所有権移転登記が、祖父(母)から親、親から子というように2回必要になります。2025年3月31日まで、登録免許税の免税措置が設けられていますが、祖父(母)の代の相続人全員の同意が必要になったり、司法書士の報酬が高くなる可能性もあります。親がお元気なうちに登記手続きを行っておいたほうが、相続手続きは楽になります。
行政書士の範疇ではない知識ですが、相続のための大切な情報ですね。どんな悩みでも、行政書士に質問して大丈夫です。分からなければ、お調べしてお答えします。相続に関する疑問や悩みはアレコレ出てくるものです。頼れる街のかかりつけ法律家、気軽に行政書士を利用してください。