自動車の相続

 土地や建物のことは、誰でも相続手続をしなければと思うのですが、意外と自動車のことが忘れられているケースがあります。

 財産的価値のある動産は相続対象になるので、遺言書に記載がなければ遺産分割協議によって相続手続を行うことになります。自動車も動産の一つですから、遺産分割協議書には具体的に記載する必要があります。自動車登録番号、種別、車名、型式、車台番号、原動機の型式まで記載すれば十分ですが、通常は自動車登録番号と車台番号だけを記載することも多いようです。

 自動車の所有権を主張する第三者対抗要件は、自動車の登録になります。簡単に言えば、自分の自動車だと主張するには名義変更が必要だということです。

 新所有者は、自分の所有になった日から15日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければなりません。申請に当たっては、一般に申請書、遺産分割協議書、戸籍謄本等、相続人の印鑑証明書、実印、自動車検査証、手数料納付書、車庫証明書、自動車税申告書を用意する必要があります。移転登録用だけの遺産分割協議書は、国土交通省のホームページ(ホーム>政策・仕事>自動車>登録手続き)からダウンロードすることが可能です。

 もし査定額が100万円以下であれば、手続きの際に、査定額を証明する書類の提出が必要となりますが、「遺産分割協議成立申立書」を使って、手続きを簡略化することができます。

 相続の対象となる財産、対象とならない財産、意外と分かりにくいものです。遺言書を作成する場合にも相続財産にモレがないようにしておきたいものです。相続を考え始めたら、頼れる街の法律家、行政書士に気軽にご相談ください。