相続土地国庫帰属制度の概要
「相続土地国庫帰属制度」「相続土地国庫帰属制度の統計」「相続土地国庫帰属制度の統計2」と記事を重ねてきましたが、ポイントを備忘録を兼ねて8月現在の概略をまとめておきたいと思います。
◎申請ができる人
・相続又は相続人に対する遺贈(以下「相続等」といいます。)によって土地を取得した方
・相続等により、土地の共有持分を取得した共有者
共有者の全員が共同して申請を行うことによって、本制度を利用することができます。
土地の共有持分を相続等以外の原因により取得した共有者(例:売買により共有持分を取得した共有者)がいる場合であっても、相続等により共有持分を取得した共有者がいるときは、共有者の全員が共同して申請を行うことによって、本制度を利用することができます。
◎相談先
・全国の法務局・地方法務局
◎申請先
・帰属の承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)
◎審査手数料
・土地一筆当たり14,000円(申請時に申請書に審査手数料額に相当する額の収入印紙を貼って納付)
注)手数料の納付後は、申請を取り下げた場合や、審査の結果却下・不承認となった場合でも、手数料は返還されない
◎申請の方法
A 法務局の窓口に提出
B 法務局に郵送で提出
◎申請書
・記載例と様式は法務省ホームページにWordとPDFで用意されている
◎添付書類
・記載例は法務省ホームページにPDFで用意されている
(1)承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面(記載例は上記のとおり)
(2)承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真(記載例は上記のとおり)
(3)承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真(記載例は上記のとおり)
(4)申請者の印鑑証明書(市区町村作成)
注)遺贈によって土地を取得した相続人が添付必須の書面
(5)相続人が遺贈を受けたことを証する追加書面
<具体例>
・遺言書
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書、除籍謄本又は改製原戸籍謄本
・亡くなった方の除かれた住民票又は戸籍の附票
・相続人の戸籍一部事項証明書
・相続人の住民票又は戸籍の附票
・相続人全員の印鑑証明書
注)承認申請者と所有権登記名義人が異なる場合に追加書面
(6)土地の所有権登記名義人(or表題部所有者)から相続又は一般承継があったことを証する書面
<具体例>
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書、除籍謄本又は改製原戸籍謄本
・亡くなった方の除かれた住民票又は戸籍の附票
・相続人の戸籍一部事項証明書
・相続人の住民票又は戸籍の附票
・遺産分割協議書
注)任意で添付する書面
・固定資産評価証明書
・承認申請土地の境界等に関する資料
※申請後、審査が完了するまでに申請者の方が亡くなった場合、土地を相続(相続人への遺贈を含む。)した方は、相続等があった日から60日以内に、申請先の法務局にその旨を申し出ることで、申請手続を継続可能
◎負担金
法務省ホームページに掲載されている具体例
①宅地 面積にかかわらず、20万円
※ただし、都市計画法の市街化区域、又は用途地域が指定されている場合は、面積に応じて算定
②田、畑 面積にかかわらず、20万円
※ただし、都市計画法の市街化区域、又は用途地域、あるいは農業振興地域の整備に関する法律の農用地が指定されている場合や取り改良事業等の施行区域内の農地の場合は、面積に応じて算定
③森林 面積に応じ算定
④その他※雑種地、原野等 面積にかかわらず、20万円
◎引き取ることができない土地の要件の概要
(1)申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2)承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
ちなみに令和7年6月30日現在の統計で、具体的な理由として以下の事例が掲載されています。
(1)却下件数:58件
(却下の理由)
・33件:法第3条第1項及び施行規則第3条各号に定める添付書類の提出がなかった(法第4条第1項第2号)
・12件:現に通路の用に供されている土地(施行令第2条第1号)に該当した
・11件:境界が明らかでない土地(法第2条第3項第5号)に該当した
・6件:承認申請が申請の権限を有しない者の申請(法第4条第1項第1号)に該当した
・1件:現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地(施行令第2条第4号)に該当した
(2)不承認件数:57件
(不承認の理由)
・23件:土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)に該当した
・22件:国による追加の整備が必要な森林(施行令第4条第3項第3号)に該当した
・6件:災害の危険により、土地や土地周辺の人、財産に被害を生じさせるおそれを防止するための措置が必要な土地(施行令第4条第3項第1号)に該当した
・6件:国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地(施行令第4条第3項第4号)に該当した
・5件:崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号)に該当した
・2件:除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)に該当した
・2件:民法上の通行権利が現に妨げられている土地(施行令第4条第2項第1号)に該当した
・1件:所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(施行令第4条第2項第2号)に該当した
内容がいつ変わるか分かりませんので、法務省のホームページを確認されることをおすすめします。士業としては最新の情報に気を付けたいところですが、お客様に相談されて改めて確認することは必須の作業です。分からないことがあったら「そうだ行政書士に相談しよう!」行政書士はあなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。どうぞお気軽にご相談ください。