預貯金口座管理制度

 2025年4月から始まった「預貯金口座管理制度」、「口座管理法」とか「預貯金口座付番制度」と言ったりしますが、相続人にとって非常にメリットの大きい制度だと言われています。どんな制度なのか簡単にまとめておきたいと思います。

 最大のメリットは、「預貯金口座の一括照会」が可能になったことです。相続人は、被相続人の死亡の事実が確認された後、全国銀行協会に指定された照会先(例えば、取引のあった金融機関など)に一括して照会を申し込むことで、被相続人が保有していた全ての預貯金口座の情報を取得できるようになります。

 とはいっても残高は開示されないようです。通知される口座情報は、金融機関名、支店名、預貯金の種類、口座番号になっています。申請には、申請者の本人確認書類、被相続人の死亡が確認できる書類、申請者が法定相続人または包括受遺者であることを確認できる書類などが必要になります。

 この制度は被相続人(故人)が亡くなる前に、自身の預貯金口座にマイナンバーを紐付けていることが必須条件です。紐付けされていない口座は、この制度の照会対象外となります。マイナンバーを使った制度なのですが、申請にはマイナンバーは必要ないというのはちょっと面白いですね。

 照会には費用がかかります。1件につき5,060円(消費税込)の手数料です。照会結果の内容にかかわらず返還されません。申込みから結果通知まで約1ヶ月程度と言われています。また、被相続人が亡くなられてから10年以内であれば照会することができるようです。これまでの相続手続きにおける個別照会にかかる交通費、時間、精神的負担を考慮すれば、費用対効果が高いですね。

 「口座の発見」という点で恩恵を受ける人が多くなると思われるのですが、一方、残高が出ないのでは残高証明書を個別に出してもらわないと相続手続きで困るのでは? いろいろな口座にお金がたくさんある人はマイナンバーの紐付けは嫌がるのでは? ほとんどのご家庭では預貯金口座は把握できているのでは? などと疑問が出てきます。まだ制度が始まったばかりなので、どこかの大統領ではないですが「どうなるか見てみよう」ですね。

 法律や制度は時代に合わせてどんどん新しくなります。注意していないと分からないことが多いですね。分からないことがあったら「そうだ行政書士に相談しよう!」行政書士はあなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。どうぞお気軽にご相談ください。