住宅ローンや火災保険の相続

 親しくしていただいている行政書士飯田法務経営事務所の飯田先生は宅地建物取引士でFP1級をお持ちでもあり、保険関係のプロでもあります。お話を伺うと相続時に、住宅ローンや火災保険、地震保険の手続きが発生するケースも多いようです。この手の手続きはきちんとしないと、思わぬトラブルや不利益が生じることが起こりがちです。

 特に高齢の方にとって、こうした手続きは難しく感じられるかもしれません。年末年始は火の用心が大切な時季です。今年最後の記事として、大切な財産を守るためにはどういうところに注意すべきか、私なりにまとめてみました。

 まず、亡くなった方の住宅ローンの手続きが滞ってしまうとどうなるのか。原則、ローンも相続されます。団体信用生命保険(団信)という保険があれば、亡くなった方がローンを組んでいた場合、その残りは保険で完済されることがあります。しかし、これを確認せずに放置していると、ローンの返済が続くかもしれません。最悪の場合、ローンを支払えないと、家を手放さなければならないことも考えられます。

 次に、火災保険や地震保険についてです。これらは住宅を守るためにとても大事です。もし家を相続した際に保険の名義を変更せず、契約者が亡くなった方のままになっていると、いざというときに保険金を請求できないことがあります。例えば、火災や地震で家が被害を受けても、保険会社から「契約者がすでに亡くなっているため手続きを進められない」と言われることがあります。そうなると修理代をすべて自分で支払わなければならない状況にもなりかねません。

 一方、保険内容を見直さずに古い保険契約をそのまま引き継ぎ、家の価値やリスクが当初の契約時から変化していたため、被害があった際に十分な補償が受けられないケースもあるかもしれません。

 また、火災保険や地震保険は、毎年の保険料を払い続けなければ契約が無効になることがあります。手続きをしないでいると、誰がその費用を支払うかで家族間でトラブルになることもあります。もし支払いが途絶えれば、契約が切れてしまい、家が無保険状態になる危険があります。そうなると、何か災害が起きたときに保険が適用されず、大きな経済的な負担を背負うことになります。

 手続きをしないことで起こるトラブルや不利益を避けるためには、住宅ローンや火災保険、地震保険の確認を行い、必要な名義変更や保険の見直しをすることが先決です。そのうえで、相続人同士で情報を共有し合うことが大切です。高齢の方でも、家族や専門家と一緒に進めれば難しくありません。

 相続手続きは複雑に見えますが、早めに対応することで将来の大きなトラブルを防ぐことができます。難しく感じる場合は、専門家と一緒に進めると安心です。行政書士はあなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。お気軽にご相談ください。