戸籍の広域交付制度における注意点
今年の3月1日施行の戸籍法の一部改正によって、戸籍の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書等の請求が可能になりました。最寄りの市区町村窓口で、必要な戸籍の本籍地が全国各地にあってもまとめて取得できるようになったわけです。とても便利そうですが、注意点も多くあります。松戸市のホームページでは、注意事項として以下の項目が挙げられています。
・現在の戸籍全部事項証明書に限り即日発行とし、除籍全部事項証明書、除籍謄本、改製原戸籍謄本の発行につきましては、受付してから5営業日以降の窓口でのお渡しとなります。
・コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は広域交付の対象外です。
・請求できる方が窓口に直接に来なければ手続きすることはできません。
・委任状による代理請求、郵送請求、第三者請求及び職務上請求は広域交付の対象外です。
・一部事項証明書(戸籍の記載事項証明書)、個人事項証明書(戸籍抄本)は請求できません。
・直近で戸籍の届出を提出されている場合、手続き終了後でないと証明書を発行できない場合がありますので、事前に本籍地の市区町村にお問い合わせください。
・戸籍の附票・身分証明書・独身証明書などは広域交付の対象外です。
・定期システムメンテナンス作業のため毎月第1・第3土曜日は交付できません
相続手続きには、改製原戸籍謄本など必要になりますから、受付してすぐには取得できないようです。再度、窓口に行く必要が出てきます。また、古い戸籍の場合はコンピュータ化されていないこともあり、その場合は取得対象外となってしまいます。相続手続きで、戸籍の附票が必要なケースはあまりありませんが、必要な場合にはこれまた対象外となってしまいます。
掲載されている注意点以外にも、まだまだ注意すべき点があるようです。特に、ネット上でも記事になっていますが、配偶者が取得請求できる戸籍は「婚姻後のものに限られる」ということです。広域交付制度を利用する場合には、配偶者として取得請求できるのは婚姻後の戸籍に限定されるということです。
つまり、どういうことかといえば、夫婦二人暮らしで、夫が亡くなった場合、妻が相続手続を行おうとして亡くなった夫の戸籍を収集しようとして、広域交付制度を利用しても夫との婚姻後の戸籍しか取得できないということです。相続手続きに必要なのは、生まれてから死亡するまでの戸籍なので、再度従来通りに取得対象の役所に戸籍の請求をしなければなりません。
本当に無理なのか、松戸市に電話で問い合わせたところ、窓口に行って取得の理由などを伝えれば、婚姻前の戸籍を取得できるケースもあるそうです。広域交付制度を利用したいと思ったら、あらかじめ窓口に電話で相談してから行ったほうがよいですね。
第三者請求はできないので、委任状による代理請求をすることはできません。行政書士や司法書士にとっては従来通りの戸籍収集作業になります。自分でやるのがいいのか、専門家に任せるのがいいのか、時間と手間をどう考えるかですね。自分でやるにしても、専門家のアドバイスがあれば手間が少なくなります。「そうだ行政書士に相談しよう!」。行政書士はあなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。気軽にご利用ください。