未登記建物

 建築時に建物の表題登記がされていない、登記記録が存在しない建物があるんですね。一般的に住宅ローンを組むと、不動産に金融機関は抵当権を設定します。だから物件の登記はされているもんだと思っていました。「建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない」(不動産登記法第47条)とありますしね。

 実際には、こうした未登記建物はけっこうあるようです。考えてみれば、家を自己資金で建てるというのが昔は多かったですよね。足りない分は親兄弟から借りるケースが多かったです。そうした場合、登記は新築した人が行うので、未登記のままになっているケースもあったわけです。

 すでに何回か記載しているのですが、2024年4月1日からは、相続によって不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。申請をしなかった時は、10万円以下の過料になります。この制度のことをご存じの方は多いのですが、相続する段になって初めて未登記ということを知ったという方もいるわけです。

 この表題登記と所有権保存登記を同時に申請することはできません。相続時はいろいろとやることが多い中で、時間を取られるのは避けたいものです。表題登記には登録免許税はかからないようなので、できれば先に登記しておいたほうが良いと思います。時間があるときに法務局などの相談窓口を利用してもよいでしょう。

 未登記でも固定資産税が課税されるので、固定資産税を払っているから大丈夫だとは言い切れません。建物が未登記なのかどうか、固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書を見るとわかります。家屋番号の項目が空欄であれば確認したほうがよいです。もちろん未登記と記載されていれば間違いありません。

 家がボロボロなので更地にしたほうが早く売れるということで、未登記と知らずに家を解体して更地にした場合、やはり地方公共団体に届出をしないと家が取り壊されたことが確認できずに固定資産税を払い続けることになります。これも表題登記をしておけば面倒はないわけです。どちらにしても未登記のままでは売却も難しいですし、金融機関の担保にもなりません。

 相続時に何が問題になるのか、何が面倒なのか、相続が気になり始めたら、聞いておくことも大切なことだと思います。「そうだ行政書士に相談しよう!」。行政書士はあなたの街の頼れるかかりつけ法律家です。気軽にご利用ください。