ゆうちょ銀行の受け取り

 金融機関によって口座の相続方法が異なることはよくあります。特にゆうちょ銀行の場合は注意が必要で、遺産分割協議の前によくご説明しておくことが大切になってきます。以前に比べて相続手続自体は簡単になってきましたが、ゆうちょ銀行の貯金等を相続する方法についてまとめておこうと思います。

 ゆうちょ銀行に貯金等の口座がある場合、その口座を相続するには、基本的に3つの方法があります。

①被相続人の口座を解約して口座振込で受け取る

都市銀行などでは、遺産分割の配分によって各相続人の口座へ振り込んでいただけたりするのですが、ゆうちょ銀行の場合はそれが出来ません。各相続人へ分割して口座振込は出来ず、代表相続人ひとりへの振込になります。しかも、ゆうちょ銀行口座への振込のみになります。つまり相続の流れとしては、代表相続人を決めて、代表相続人のゆうちょ銀行口座に振込してもらい、他の相続人に遺産分割の配分に従って分配するということになります。

②被相続人の口座を解約して払戻証書で受け取る

貯金等を解約して、払戻証書として受け取る方法です。イメージとしては小切手を受け取るのと同じですが、ゆうちょ銀行以外の他銀行の窓口で現金化することはできません。払戻証書は手続き完了後に郵送で送られてきますので、ゆうちょ銀行や郵便局の貯金窓口に証書を持参して現金化するという流れになります。

③被相続人の口座を解約せずに代表相続人に名義変更する

貯金等の名義人を、被相続人から代表相続人に変更する方法になります。代表相続人がゆうちょ銀行口座を持っておられない場合には名義変更して、他の相続人へ口座振込が可能になります。また、定期貯金などがあれば、解約せずにそのまま引き継ぐこともできます。

 ゆうちょ銀行に口座を持っている。持っていない。持っていないから口座を開設する。持っていないけど口座を作りたくない。など、まず相続人の方の意思が基本になります。そのうえでどういう相続をするのかを考えて、遺産分割協議を行うことが大切です。

 口座を作りたくないという場合は払戻証書の現金化になりますが、現金が高額になると短時間でも持ち歩くのはとても危険です。(私はおすすめしません)払戻証書を窓口に持参して現金化する手間も大変だということを考えて判断してください。もちろん多額の現金になると、事前連絡なしに窓口に行っても現金を用意できない場合があります。

 遺産分割協議書は相続人だけで作成することも可能なのですが、いろいろな相続の経験あるいは情報を持っていらっしゃるかどうか、経験や情報が少ないと無駄な手間が増えていくばかりです。相続手続を委任するかどうかは別にして、まず専門家の意見を聞くことは大切ではないでしょうか。「そうだ行政書士に相談しよう!」あなたの街の頼れるかかりつけ法律家・行政書士に気軽に相談してください。