いま確認しておきたい相続の期限について

 相続税の申告と納付期限が、相続開始から10か月以内に申告しなければならないことは、多くの方が知っていると思います。こうした相続の期限については、インターネットのサイトで数多く紹介されています。

 注意していただきたいのは、法改正が反映されておらず、掲載されている古い情報は参考にしてはダメということですね。今回は、質問されることが多い不動産登記と遺産分割協議に関して記載したいと思います。新しく制度化された相続登記などは、あちこちで報道されているのでご存知の方が多いかもしれません。

 来年24年の4月からですが、相続した不動産登記の期限は3年以内となっています。正当な理由がないのに登記しないと10万円以下の過料が課されます。ここまではご存知の方が多いですね。

 相続登記に関しては、相続人申請登記にも着目しておきたいです。遺産の分け方が決まらなくても相続開始と共に自分が相続人であることを申告すれば申請義務が履行されたとみなされる制度です。相続がもめて登記が行えない場合に利用すれば、10万円の過料は課されなくなります。相続人それぞれが行えますが、そのままでは第三者に不動産の権利を主張することはできません。また遺産分割成立日から再び3年以内に相続登記が必要になります。

 相続がもめて遺産分割協議が進まないことに対しては、今年4月から始まった遺産分割協議に関する期限ついて知っておきましょう。これは遺産分割協議自体の期限ではなく、特別受益と寄与分の主張ができる期間が相続開始の時から10年以内という内容に関する期限となっています。23年4月1日以前から遺産分割協議をしていて10年を経過している場合は、23年4月1日から5年以内であれば権利が主張できるといった猶予期間が設けられています。加えて、23年4月1日から5年以内に10年を超えてしまう場合も23年4月1日から5年以内まで権利が主張できます。

 相続では特別受益や寄与分の主張が遺産分割協議の合意を妨げる原因にもなっています。10年以内という期限を過ぎてしまうとこうした主張ができなくなり、法定相続分での分割となります。ただし遺産分割協議の期限ではないので、期限を過ぎても改めて遺産分割協議で合意できれば、その合意した割合で分割することが可能なのですが、現実的には難しいように思えます。

 簡単にポイントをまとめてみましたが、相続はもめないことが一番良いわけで、そのためには遺言書をぜひ検討していただきたいです。「そうだ行政書士に相談しよう!」あなたの街の頼れるかかりつけ法律家・行政書士を、ぜひ、ご検討ください。