戸籍の附票と150年の保存期間

 住民基本台帳法の一部改正(令和元年6月20日施行)により、平成26年6月20日以降に消除または改製された住民票の除票および戸籍の附票の除票の保存期間が150年間に延長されました。

 それまでは保存期間が5年でしたので、令和4年1月19日、松戸市では、令和4年1月11日より戸籍の附票および住民票の除票の保存期間が150年となりました。「それがどうしたの?」ということですが、つまり、平成26年6月19日以前のもので、5年間住所が確認できなかったものに関しては戸籍の附票が抹消されていたということです。つまり、戸籍の附票を請求してももらえなかったということです。

 相続手続きに戸籍はなくてはならないものです。たとえば遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成するためには、相続人全員の署名押印が必要です。場合によっては、日頃付き合いのない法定相続人に連絡をとる必要が出てきます。法定相続人は戸籍を調べることで確定していきます。そして、戸籍の附票によって住所地を確認するのが一般的です。戸籍の附票には、その戸籍が作られてから現在(除籍)に至るまでの住所が記録されているからです。当然、戸籍の附票に記載のある住所をもとに連絡することになるのですが、住所が分からないとなると困ってしまうわけです。

 ちなみに住民票の除票とは、転出、死亡、改製などにより消除された住民票のことです。亡くなられた方の住民票の除票は必ず必要になります。

 保存期間が150年に延びたとしても、本人が住所登録していない場合には、附票に住所が記載されないことになります。住所不定ということですね。戸籍の附票に住所が記載されない理由として考えられるものは、転入したにも関わらず新しい住所の登録手続きを行っていない場合や個人が住所を故意に隠しているか、行方が分からない場合、戸籍に住所が記載されないことがあります。また、複数の住所を有する場合や、住所が不明確な場合、附票には正確な住所が記載されないことがあるようです。

 日頃から親戚付き合いが密という方は少ないでしょう。少なくとも法定相続人が誰になるのかだけでも確認しておくことをおすすめします。そのうえで、連絡を取っておく必要がある場合には対処しておいたほうがよいでしょう。

 もし、どうしても連絡が取れずに相続手続きが滞ってしまう場合には、不在者財産管理人の選任が必要になってきます。不在者財産管理人とは、行方不明者(不在者)の財産を管理する人のことです。家庭裁判所が選任します。選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができます。

 法定相続人が分からない、分かっているけど付き合いがない、など心配な方は早め早めに対策しておきましょう。それが最初の一歩だと思います。どうしても心配なら相続を扱っている士業にご相談ください。「そうだ行政書士に相談しよう!」あなたの街のかかりつけ法律家・行政書士も、ぜひ、ご検討ください。