英米法の「プロベイト」

 海外の相続手続は難しいですね。渉外相続とか国際相続とか言ったりしますが、勉強が欠かせません。アメリカなどの英米法の国では、相続手続に裁判所が関与するケースがあります。これをプロベイトと呼ぶのですが、少しまとめておきたいと思います。

 プロベイトでは、被相続人の財産は、独立した人格を持つ遺産財団となるそうです。清算手続きは、裁判所から人名される人格代表者が、遺言がある場合には遺産執行者、遺言がない場合には遺産管理人として行います。遺言書の有効性の確認や相続人の確定、債権者への公告、債務の清算、相続税の支払い、相続人への相続財産の分配など、裁判所の管理下で人格代表者が行っていくそうですが、手続きに1年から数年かかる場合があるそうです。

 日本と違って「えっ!」と思ったのは、遺言書の内容や相続人の情報などが公開されるということです。そういえば、アメリカでは有名人の相続情報がかなり詳しくニュースになったりしていますね。相続財産の利用や処分が制限されることもあるようで、日本の常識で対応していたら問題になると思います。

 このプロベイトについては、一定額以下の少額財産であれば適用されないこともあるようです。相続人の住所や被相続人との続柄などを記載して、相続人の署名(公証を受けたもの)のある宣誓供述書の対応で済むらしいです。日本なら、法定相続情報一覧図と印鑑証明書といった感じでしょうか。他にも、アメリカの場合だと財産を生存者受取権付の共有名義にしておくとか、金融資産の受取人指定をあらかじめ金融機関に届出をしておくとか、生前信託、日本法人の財産にしておくなどの回避方法があるらしいですが、こうなると渉外相続の実務に精通した専門家でないと無理かもしれません。

 とりあえず海外に財産を保有する場合は、プロベイト制度があるかどうか確認しておいたほうがよいですね。

 専門家といっても、すべてに精通しているわけではありません。たぶんどんな士業でも同じではないでしょうか。都度、確認しながら確実にやっていけること、その道筋が分かっていることが専門家だと思います。ご要望にお答えできないと判断した場合は、最初から対応できる専門家をご紹介しますのでご安心ください。行政書士は「あなたの街の頼れるかかりつけ法律家」です。最初の一歩、ぜひご相談ください。