ハンコ代
ハンコ代は、相続だけでなく一般的に物事をスムーズに進めるために、承諾してもらいたい相手方に対して支払う金銭のことです。相続手続の場合は、遺産分割証明書に署名・押印してもらうために支払う金銭をいいます。
遺留分に配慮した遺言書を作成していれば、そうした必要はないのですが、現実には遺産分割協議を行って相続財産の帰属を決めることが多いです。すんなり遺産分割協議ができる場合もありますが、なかなか難しくなる場合もあります。
お子さんがいなくて配偶者のみの場合には、被相続人(故人)の兄弟姉妹(亡くなっている場合には甥姪)が法定相続人に含まれます。付き合いがなかった親族が法定相続人というようなケースで遺産分割協議が難航するかといえば、すんなり遺産分割協議が終わることもありますし、逆に配偶者とお子さんという一般的なケースでも難航する場合があります。
難航するケースは一概に言えません。法定相続人ごとの事情によって変わるからです。相続財産が欲しいという要望に対して、相続財産が不動産中心で現金が少ないなど、その規模や内容によって相続人ごとに均等に相続させることが難しいケースはよくあります。なんとか遺産分割協議書の内容に納得してもらい、署名・押印してもらうために支払う金銭、それがハンコ代というわけです。
ハンコ代に決まった相場はありません。相続人それぞれに事情も異なりますから、金額にも差異が出てくることがあります。印鑑証明書や戸籍謄本の取得費および交通費などの実費分をもらえばいいという方がいれば、区切りのいい金額(たとえば10万円など)、払えるだけ多く…などなど、金額は様々です。もちろん、まったく要らないという方もいるわけですが。
説明していて、ハンコ代とはやっぱり手間のかかる面倒なことだと改めて思いました。遺言書は、どうしても必要という気持ちにならないので、作成されない方が多いです。いざ作成しようとすると介護状態になって、機を逸してしまうケースもよくあります。面倒な相続手続きにならないように、ぜひ、公正証書遺言を検討してもらいたいと思います。
来週は、大晦日です。一年過ぎるのが早いですね。年末年始にご家族一緒に過ごされるご家庭も多いと思いますので、相続について(モメない程度に!)話題にしていただきたいですね。良いお年をお迎えください。