内縁の妻による特別の寄与

 民法改正によって、「特別の寄与」制度(1050条)が設けられました。この改正の特徴は、特別寄与者の範囲を、被相続人の親族に限定されたことです。旧法では特別寄与者の範囲が明確にされていなかったのですが、新法によって、被相続人の内縁の配偶者や事実婚、同性カップルのパートナーは特別寄与料の請求をすることが法的にできなくなりました。

 内縁関係のカップルというのは割と多くいらっしゃいます。相続のご相談にも多くの方がいらっしゃいます。療養看護の特別寄与分が認められないとすると、準委任契約に基づく請求や事務管理に基づく費用償還請求、不当利得返還請求などが考えられるとされていますが、準委任契約は原則無報酬の契約ですし、契約書を作成して報酬支払の特約をつけるなど、法的な対処を細かくしておかなければなりません。事務管理の場合は、有益な費用を支出した場合という制約がありますし、不当利得を成立させるのも難しいです。どれも簡単ではなく、不十分であることが指摘されています。

 結論としては、療養看護が始まった時点で、特別寄与分を考慮した公正証書遺言を作成しておくことが良いと思われます。公正証書遺言の場合、費用はかかりますが動けない場合に公証人が病院や自宅へ出張することができます。しかも自筆証書遺言に比べて、本人の意思による遺言であることは疑いようがありません。

 内縁の妻への相続に関しては、法定相続人との関係も含めて悩まれている方が多いと思います。悩むより相談です。まだまだ動けるうちに、予防法務の専門家でもある行政書士を利用していただきたいです。