相続税額の計算方法

 相続税に関する記事を何度かアップしたのに、肝心の相続税の仕組みを記載してませんでした。個別具体的な計算は税理士先生の独占業務なので、行政書士は扱えません。基本的な計算方法をお知らせすることは、行政書士やファイナンシャルプランナーにも可能なので、今回は基本となる計算方法について書くことにしました。

 以下の①から⑥までのステップになります。

ステップ① 基礎控除を計算する

3000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額
例)法定相続人が3人の場合は、3000+(600×3)=3000+1800=4800万円

ステップ② 相続財産から基礎控除を引く=相続課税の総額

例)法定相続人が3人の場合、相続財産が4800万円以下であれば無税
4800万円(相続財産)-4800万円(基礎控除)=0円(課税総額)

ステップ③ 相続課税総額を法定相続分で分ける

例)法定相続人3人が配偶者と子供2人の場合、配偶者は1/2、子供はそれぞれ1/4
課税総額が8000万円であれば、配偶者は4000万円、子供はそれぞれ2000万円

ステップ④ 法定相続分で分けたそれぞれの課税額に相続税率を掛けて、控除額を引き、相続税額を出す

例)配偶者が4000万円の場合、4000×20%=800万円 -200万円(控除額)=600万円
子供Aが2000万円の場合、2000×15%=300万円 -50万円(控除額)=250万円
子供Bが2000万円の場合、2000×15%=300万円 -50万円(控除額)=250万円
※下記の相続税の税額速算表(現時点)より

各法定相続人の取得金額税率控除額
1000万円以下10% 
3000万円以下15%50万円
5000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1700万円
3億円以下45%2700万円
6億円以下50%4200万円
6億円超55%7200万円

 

ステップ⑤ 各相続人の相続税額を合算して、取得割合に応じて比例配分する

例)600+250+250=1100万円(相続税額合計)
遺言書あるいは遺産分割協議で母親が全部の遺産を取得する場合
相続税額は、母親1100万円、子供AとBは0円

ステップ⑥ 各種控除を適用して、最終的な相続税額を算出する
配偶者控除は1億6000万円か法定相続分に対応する税額
例)母親の相続税額が1100万円なら1億6000万円より少ないので無税

 他にも
未成年者控除(10万円×18歳までの年数)
障害者控除(10万円(特別障害者は20万円)×85歳までの年数)
相次相続控除(10年以内に相続が重なった場合、前の相続税額に一定割合を掛けた額を控除)
贈与税額控除、外国税額控除、精算課税控除など。

 逆に税額が増える場合もあります。
相続税額の2割加算
相続または遺贈によって財産を取得した人が、その被相続人の一親等の血族(代襲相続人を含み、代襲相続人以外の孫・養子を除く)および配偶者以外である場合、その人の算出税額の20%が加算されます。

 最近、よく話題になるのが二次相続時の税金ですね。例にあげたように配偶者にすべてを相続させないほうが、配偶者が亡くなったときの二次相続で税金がトータルで少なくなる場合もあります。個別具体的な計算は税理士先生しかできませんので、気になる方は相談されたほうがいいですね。二次相続問題とは、どういうことなのか、基本的な話であれば行政書士に質問されても大丈夫です。相続に関する疑問や悩みはアレコレ出てくるものです。頼れる街のかかりつけ法律家、気軽に行政書士を利用してください。「そうだ!行政書士に相談しよう」が行政書士会のスローガンですから。