相続資格の重複

 相続対策として、孫を養子にして遺産を渡したい。そういうご相談もあります。
 孫を養子にした場合、もし孫の親、つまり被相続人の実子になりますが、被相続人より先に実子が亡くなってしまった場合も想定しておきたいですね。
 孫はどんな立場になるかというと、孫は実子の代襲相続人としての相続人資格と、養子としての相続人資格が重複してしまいます。問題にならないのでしょうか。
 昭和26年9月18日民事甲第1881号民事局長電信回答によると、相続人として二重資格を取得するとされています。重複した分だけ孫の相続遺産が増えるわけです。

 一方、実子に子供がおらす、実子の配偶者を養子にした場合には、どうなるでしょうか。
 両親もすでに死亡しており、実子が亡くなった場合、相続人は実子の兄弟姉妹と配偶者になるわけですが、配偶者は死んだ両親の養子でもあるわけですから、兄弟姉妹としての相続人資格を取得するのでしょうか。
 昭和23年8月9日民事甲第2371号民事局長回答によると、兄弟姉妹としての相続人資格は認められず、配偶者としての相続分のみを認める扱いになっているようです。

 では、兄弟姉妹間で養子縁組をした場合には、どうなるのか。
 親としての兄弟姉妹が亡くなった場合に、子として相続放棄をすると、昭和32年1月10日民事甲61号民事局長回答によると、元々の権利であった兄弟姉妹としての相続人の資格もなるなるようです。

 ちょっと複雑で分かりにくいですが、私も勉強して改めて整理できました。この3つのケース、特別な事例というわけでもありません。しかし、先々に起こり得る事態によって、相続がどうなるのか、けっこう難しいです。できるだけ、専門家の知識を活用して欲しいと改めて思いました。街のかかりつけ法律家、行政書士をぜひ頼ってください。