自筆証遺言保管制度で確認すればOKか?

 自筆証書遺言保管制度では、関係相続人等は遺言書保管官に対して、特定の死亡者につき、遺言書の保管の有無、保管されている場合には遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(遺言書保管事実証明書)の交付を請求することができます。

 また、遺言者の死後に限り、保管している法務局の遺言書保管官に対して、関係相続人等は閲覧を請求することができ、遺言書に係る画像処理等を証明した書類(遺言書情報証明書)の交付を請求することができます。

 保管の事実を知り、遺言書情報証明書の交付請求を行うと、遺言書の存在と内容が把握できるわけです。同時にその他の遺言者の相続人・受遺者・遺言執行人に対して、遺言書を保管している旨の通知がされます。

 こういう手続きをすると、なんだかその遺言書で相続手続きがスタートするように思われませんか。もし、そう思うのであれば、注意が必要です。

 なぜなら、法務局に出向くことが困難になった後に作成された新たな自筆証書遺言書や公正証書遺言書がある可能性があるからです。遺言書保管制度発足後においても、遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができます。前の遺言で後の遺言と抵触する部分については、後の遺言で前の遺言が撤回されたとみなされます。

 遺言書が見つかったからといって安心はできません。日付のより新しい遺言書の存否を確認することが必要ですね。

 こういったちょっとしたチェックポイントは、個々の状況によって異なりますし、専門家でないとなかなか気付きにくいものです。少しでも不安に思うなら、無料セミナーや無料相談会を利用してみてはいかがでしょうか。士業には守秘義務がありますので、安心でご相談ください。

 今年も後わずかになってしまいました。コロナで無料相談会も無料セミナーも中止せざるを得なかったですが、来年もめげずに開催を考えております。すでに会場も抑えていますので、開催が可能であれば1月末には告知できるかと思います。来年もよろしくお願いいたします。