遺言執行者による銀行手続き

遺言執行者になって、預貯金の払戻しや解約に行く場合、何が必要なのか、注意点に関するご質問がありました。

まず、遺言執行人である証明が必要になります。
遺言によって指定された遺言執行人の場合には、その遺言書は提示しなければなりません。家庭裁判所によって選任された場合には、選任決定書の提示が必要になります。

あわせて、遺言執行者の本人確認のために、身分証の提示も必要になりますから、運転免許証等を用意しておきます。

遺言執行者の有する権利義務は、改正後の民法第1012条1項に「遺言の内容を実現させるため」と明記されましたが、何でもできるということではありません。
遺言に記載された遺贈の履行、遺産分割の方法の指定として共同相続人の一部の者への預貯金債権の承継、いずれの場合も遺言執行者は、預貯金の払い戻し請求や解約を行う権限を有しますが、遺言の内容の実現において必要な限度に限られます。

特に、遺言の内容が、遺言者名義の預貯金債権の一部のみについて、共同相続人の一部に相続させる場合、遺言執行者であっても、その預貯金を解約することはできません。(改正民法第1014条3項ただし書)
つまり、遺言に記載された分の払戻しの申し入れしかできない場合もあるので、注意が必要です。

遺言執行者に指定されて戸惑うかもしれませんが、払戻しや解約の申し入れが、遺言の実行に必要な限度の申し入れであるかどうか、遺言内容をよく確認しておくことをおすすめします。

今回、改正民法第1016条で、遺言執行者は遺言に別段の意思が表示された場合を除き、「自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる」として、原則として復任権が明記されました。つまり、遺言書の中に復任許可の記載がなくても、遺言執行を頼むことも可能だということです。その責任についても、復任に「やむを得ない事由」があるときは、相続人に対し、その選任及び監督についてのみ責任を負うものとされました。

もし、遺言執行に不安や心配があるようでしたら、復任のご相談など、私たち遺言相続を扱う行政書士に気軽にお声をかけてください。